ブイキューブは11月11日、法人専用テキストチャットサービス「V-CUBE Gate」の提供を開始した。V-CUBE Gateは「Line」に代表されるテキストチャットサービスだが、利用対象を法人に特化している。
「もともとは社内利用からスタートしたもので、使い込むうちに“これは製品として提供してもニーズがあるのでは?”と今回提供することとした。個人向けチャットサービスの便利さから“これを法人向けに使えないか”と考える人も多いだろう。しかし、情報流出やアカウント乗っ取り、宛先を間違えて送ってしまった場合の対応策など、法人利用に踏み切れない障壁がある。今回のサービスは法人用で、これらの障壁をクリアする機能を持っている」と代表取締役社長である間下直晃氏は説明する。
V-CUBE Gateは中堅企業から大企業向けの有償サービスも用意しているが、基本サービスは無償で提供。ブイキューブが提供する他のサービスを企業にアピールする際の“ドアノックツール”的な役割担う製品と位置付けている。
同社は11月12日付でウェブセミナー配信専用スタジオを東京・恵比寿ガーデンプレイス内に開設。需要が増加しているオンラインセミナーを開催する場として活用を進めていく。
ブイキューブ 代表取締役社長 間下直晃氏
1日中ウェブ会議を使うユーザーはいない
ブイキューブではSaaS型ウェブ会議を事業の中心としているが、「ウェブ会議は、現在でも説明をしないと導入に結び付かない。利用頻度も1日中ウェブ会議に接続しているユーザーはほとんどいない。日常的な会話となるとテキストチャットの方が手軽で利便性が高い。そこで、まずコンシューマー分野で利用が広がっているテキストチャットを提供し、そこからウェブ会議導入に結び付けていくこともできると考えている」(間下氏)という観点から、広く利用者をつかむために無償でテキストチャットサービスのV-CUBE Gateを提供していく。
V-CUBE Gateの特徴は(1)初期費用、月額費用は無償で広告なども表示しない、(2)企業のセキュリティポリシーにあわせた利用設定など、企業が利用するための機能を装備、(3)「V-CUBEミーティング」契約者は連携利用が可能――の3点となっている。
料金は、24時間365日サポートが必要なユーザー向けの有償サービスを設けているが、通常利用については無償で利用できる。V-CUBEミーティングのユーザーでなくとも利用可能で「できるだけ多くのユーザーに使ってもらい、日本で100万ユーザー、ワールドワイドでも100万ユーザーレベルを獲得していく」(間下氏)と広く利用者を広げていく。
利用できるデバイスはPCやタブレット、スマートフォンとマルチデバイス対応。どのデバイスからアクセスしても完全に同期できる。仕事場から、外出先から、自宅から利用できる。
コンシューマーサービスと同様にスタンプを使ったコミュニケーションも可能で、文字だけでは伝わりにくいニュアンスの共有のために利用できる。送信できるファイルは特に選ばず、ビジネスで利用するファイルのほとんどをやり取りできる。チャットやアップロードされたファイルのログ保存期間は無制限で、検索することも可能となっている。
セキュリティ対策としてIPアドレスを制限、デバイスセッションを管理し、特定のIPアドレスからのみの利用を可能とし、利用していた端末を紛失した場合には特定端末からのログインを禁止にするといった措置を取ることもできる。
利用するグループは同じ社内のユーザー単位、社外のユーザーを交えてなどプロジェクトに応じてさまざまなグループを設定できる。利用する相手によっては、管理者がファイルの送受信をできない設定とするなど、グループごとに異なる設定としていくことができる。
対応言語は日本語、英語、中国語、タイ語、インドネシア語に対応し、グローバルでの利用を想定している。基盤としてIBMのIaaS「SoftLayer」を採用し、グローバルで利用できる基盤としての活用を目指していく。
会見は、11月12日からオープンするウェブセミナー配信専用スタジオの「Studio Octo(スタジオ・オクト)」で行われた。ウェブセミナーは、医療業界向けに製薬会社が新薬をアピールする際に実施、企業がリクルート目的でのアピール向けなど、オンラインセミナー需要が増加していることから専用スタジオを設置した。
施設には30人程度が利用できる大スタジオが1室(利用料は1日18万円)、5人程度が利用できる中スタジオが1室(同1日12万円)、1~2人で利用する小スタジオが5室(同1日6万円)用意されている。スタジオ以外にもメイク室、エグゼクティブの利用を想定した待合室なども用意し、利用者を募っていく。
ウェブセミナー配信専用のStudio Octoにある小スタジオ