SAPジャパンは12月2日、インメモリデータベースの新版「SAP HANA Service Pack 9(SP9)」の提供を開始した。新たにマルチテナントなどの機能が追加されている。
オンプレミスとクラウドの環境で、複数のデータベースのワークロード管理を可能にするマルチテナントに対応している。これにより、プロビジョニングと管理の作業のシンプル化が可能となり、顧客はシステムリソースをより有効活用し、全体的な設備投資を低減できるという。
例えば、これまでHANAを分析プラットフォームとして利用し、データウェアハウス「SAP Business Warehouse powered by SAP HANA」とビジネスアプリケーション「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を別のシステム上で稼働していたユーザー企業は、統合して単一のシステムのマルチテナントデータベースとして稼働させられる。本番機や検証機、開発機を同一のシステム上のマルチテナントデータベースとして稼働させることで、ハードウェアを集約できる。
新版では、ダイナミックデータティアリング機能を追加した。インメモリに最適化されたテーブルに加えて、ディスクに最適化されたテーブルの利用が可能になった。高いコスト効果を維持しつつ、ペタバイト級の超大規模のデータセットを管理して、クリティカルデータにシームレスで透過的にアクセスできるという。
データのプロビジョニング、変換、クレンジング、エンリッチメントの機能を追加。加えて、大量のストリーミングデータをリアルタイムで処理、分析する機能も追加した。
データベースに必要とされるACID(Atomicity:不可分性、Consistency:一貫性、Isolation:独立性、Durability:永続性)に準拠したというグラフストレージ/エンジン機能では、エンタープライズデータや相互関連性の高いソーシャルネットワークやサプライチェーンのデータ処理に利用できるという。
例えば、SAP子会社のSuccessFactorsが提供するサービスの場合、HANAのグラフ機能を使用することで、トランザクションとグラフのデータを統合管理し、これまで隠れていた洞察や複雑すぎて計算できなかった洞察を見出すことで、学習者の特定や学習材料の推奨に役立っているとしている。
分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」との連携では、ユーザー定義関数(UDF)でHANAがMapReduceにアクセスすることで、Hadoop内のジョブを直接実行できるようになっている。