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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

キーワードは「モバイルとマネー」--2014年の中国モバイルインターネット

山谷剛史

2014-12-23 06:00

 2013年より、3Gのデータ通信の利用料金が落ちて3G利用の敷居が下がったことで、スマートフォンによるモバイルインターネットの利用者が増加した。2014年の9月末時点で、3G/4Gユーザー数は5億2500万、4Gユーザーは4300万(工業和信息化部発表)で、最新の発表では、4G(TD LTE)ユーザーは5000万人を突破したとのこと。

 さて、2014年の中国のインターネットを振り返ると、「モバイルとマネー」の動きが顕著だったように思う。主流にはまだなっていないが、オンラインショッピングなどでのモバイルでの利用者が急激に増えている。そこで2014年のモバイルインターネットで注目の動きを振り返ってみたい。

 まず11月19日にAppStoreが仕掛けた、1元アプリ登場には驚かされた。本来の価格設定は、「無料」か「6元(約120円)」か「12元(約240円)」かだったが、オフィシャルの発表なしに突然「1元(約20円)」という設定が登場した。中国向けに新設定で、銀聯(UnionPay)と提携したものだ。オフィシャルの発表はその2日後だ。

 このAppStoreの新設定に機敏に反応し、すぐにアプリを1元に設定しなおしたベンダーが、旬の企業となり、話題になった。例えば人気の家計簿アプリ「随手記」は、Appleの新設定の1時間後に値段を変更。マイクロブログ「微博(Weibo)」などのSNSで「これはバグか!1元で随手記を販売中」とPRし、話題となり、新しいユーザーを囲い込んだ。

 上半期に話題になったのは、タクシー呼び出しアプリだ。客を囲い込もうとする「滴滴打車」と「快的打車」は、2014年の年初より、アプリ利用時に、利用者とドライバー双方に利用の感謝をこめてお小遣い(紅包)をあげた。最初は双方とも5元のプレゼントだったのが、競争の激化で10元に。市内のタクシーの移動が、10数元~30元であることを考えると、利用者としてはかなりお得なセールだったことになる。

 両社合わせてその負担額は24億元(480億円)に。もちろん企業としては赤字覚悟のやり方ではあるが、こうした赤字覚悟で顧客を囲うことは、中国では珍しくはないビジネスの手法だ。このお得なセールの結果、両社の利用者は一気に増加し5000万人に達したが、紅包によるキャッシュバック終了後のユーザー数は、年末の時点で約4000万人と1000万人の減少に。

 通年で話題となったのは、騰訊(Tencent)による微信(WeChat)にまつわる「モバイルとマネー」だ。2013年の8月に同社がリリースした、同社の支払サービス「微信支付」を普及させるべく、様々なサービスをリリースしていく。その結果、阿里巴巴(Alibaba)系の支付宝(Alipay)に対抗する勢力になりつつある。

 微信支付絡みでは、年始の春節(旧正月)には、お年玉でお金(紅包)を渡す習慣を利用して、「微信紅包」をリリース。スマートフォンで気軽に知人に紅包が送れるとあって、多くの微信利用者が利用するホットなサービスに。また「プリペイドの携帯電話料金をチャージすると、紅包をプレゼント」するキャリアなど、ユーザーがスマートフォンで支払うと得をする仕掛けを行う企業も続々と登場した。

 また下半期には、微信や微博(Weibo)などを利用して、自身のフォロワーに商品を販売する「微商」が登場し、その認知度は徐々にあがっている。「口袋通」「微信小店」「京東微店」などの騰訊系のモバイル向けオンラインショッピングサイトで自分の店をオープン。自身のリアルなフォロワー数や影響力がモノをいう、モバイル+SNS時代の新サービスだ。

 中国のオンラインショッピングの代名詞である「淘宝網(Taobao)」や「天猫(Tmall)」がPC向け万人向け販売サイトなら、微商はモバイル向けでクローズな販売サイト。淘宝網や天猫のモバイルでの利用もまた目立って増えているが、それ以上に微商が話題となった1年であった。

 モバイルとパソコンを兼ねるが、12月12日には、阿里巴巴がキャッシュカードについた銀聯(UnionPay)からではなく、支付宝での支払いをすると、最大20元キャッシュバックキャンペーンを行うと発表。中国メディアは銀聯(UnionPay)に全面戦争を仕掛けたと分析した。日本では中国人旅行者が増加する中で、銀聯対応の店が増えているが、その銀聯すらも、ネットユーザーの間では時代遅れのものとなるかもしれない。

 モバイルとマネーの結びつきが顕著に目だった1年だったが、今後は利用者がより増えていくだろう。3G/4Gユーザーが当たり前になっていく中で、かつて日本で記事が出て、本が出版された「中国でモノを売る=淘宝網でのショップ開店」という常識すらも時代遅れになっていきそうだ。また多くの中国の消費者を囲う手段として、紅包のばらまきが常套手段の1つとなった。多くの消費者を呼びこもうとすればするほど、企業体力を要するわけだ。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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