ガートナージャパンは2月24日、統合基幹業務システム(ERP)のモバイル対応に関する調査結果を発表した。企業の多くがタブレット端末向け販売管理領域へのニーズを持っているという結果が出た。
2012年にガートナーが実施した調査でも、モバイルは既に「利用したいERP関連のテクノロジ」のトップとして挙がっており、数年前から企業の関心が高まっているという。2014年5月に実施した調査でERPへのアクセス手段としてのモバイル機器の利用状況では、「導入/利用中」の割合は、ノートPC(26.3%)が最も高く、次にタブレット端末(4.4%)、携帯電話(2.7%)、スマートフォン(2.4%)の順とした。
一方、「新規導入予定(3年以内)」と「関心あり」を選択した企業の割合は、タブレット端末が最も高く、5割以上とした。また、スマートフォンについてはノートPCよりも「新規導入予定(3年以内)」の割合が低いものの、「関心あり」と回答した企業はタブレット端末に次ぐ割合となった。
モバイル機器から利用中であるか、利用したいERPの業務用途について尋ねたところ、販売管理の選択率が最も高かったという。販売管理を選択した企業でも「新規導入予定(3年以内)」と「関心あり」の割合が最も高いのはタブレット端末だったとした。
ガートナーはERPへのアクセス手段として特にタブレット端末が注目されている背景には、従来のスマートフォンにはない大画面が、複数の情報を入力、参照する際の一覧性を必要とする業務をサポートする上で有用という認識があると指摘。
中でも販売管理領域では、これまでコスト、機動性や軽量性、バッテリ持続時間などの制約からPCでの社外や屋外のERP利用が困難だったが、今後はこの領域でも営業担当者のニーズを満たす手段として、活用が進んでいくと説明した。
ERPのモバイル対応に関する期待と懸念についての質問では、期待事項のトップが「社外/屋外利用」(56.4%)、「安価な導入/利用コスト」(51.0%)、懸念事項のトップは「セキュリティ」(54.5%)、次が「導入/利用コスト」(48.4%)という結果となった。これらの調査結果から、企業は、ERPのエンドユーザーに安価にモビリティを提供したい一方、モバイルを通じたERP利用の本格展開に伴うセキュリティ対応のコストや不透明な投資対効果を忌避していると指摘した。
そのため、ERPのモバイル対応を訴求しようとしているERPベンダーとそのパートナー企業は、まず特定の業務領域、部門、地域などでの限定的なエンドユーザーを対象とした試験導入を通じ、期待した効果が見込めるかどうかを検証し、段階的に展開していくアプローチを顧客企業に提案する姿勢が重要と提言している。
ERP機能へのアクセス手段としてのモバイル機器の利用状況 (2014年5月 調査)