マーケティングをいっそう効率化、最適化することを目指す「マーケティングオートメーション」を推進しているMarketoは2007年、米国で設立された。2013年にNASDAQ上場、グローバル展開に着手し2014年には日本法人マルケトを設立。日本国内での活動を本格化させている。
同社のツールは、キャンペーンの実施や測定を自動化し 業務効率を向上させ、収益拡大に貢献することを図っている。新たなマーケティング手法を提唱することでさらに高い成長を狙う、Marketo 取締役会長 兼 最高経営責任者(CEO)Phil Fernandez氏とマルケト 代表取締役社長 福田康隆氏に、戦略と展望を聞いた。
ITの役割と事業部門の関わり方を刷新
--「マーケティングオートメーション」の目指すものとは。
Marketo 取締役会長 兼 最高経営責任者(CEO)Phil Fernandez氏
Fernandez氏 企業が顧客との関係をより強化し、販売プロセスを効果的にして利益をあげられるよう支援することを目指しています。われわれのサービスを導入する企業が、新規顧客の獲得にデジタル技術を用いることで、顧客がその企業のいわば応援団になってくれるような関係を構築してほしい。事業拡大に当たり当然パートナーは重要ですが、日本では直接の顧客を獲得することを目標として重視しています。
--日本市場でマーケティングオートメーションは、どの程度受け入れられるか。
福田氏 多くの企業に受けら入れられると思います。日本法人を立ち上げた2014年の取引数は、すでに40社に上っています。2015年には150社にまで増やす目標がありますが、決して無理な数値ではないという認識です。1996年ごろ、他の企業で統合基幹業務システム(ERP)を扱っていたが、そんなものは日本には根付かないといわれました。2004年には、SFAやCRMを手掛けましたが、これも日本では定着しないだろうと指摘されていました。しかし、結果を見れば実際には、これらを国内市場で展開したOracleやSalesforce.comは大きな成長を遂げています。
初めて開催した主催イベントにも、当初の募集人数を大きく超えた1600人が集まり、すでに導入の具体的検討を始めている企業も少なくありません。企業内のITシステムは、従来、経理はERP、営業はSFAが担っていました。マーケティングは分析ツール、メールは配信ツール、顧客データベースは別のツール、集計はExcelといったあたりにバラバラに留まっていましたが、これらを統合できるプラットフォームがマーケティングオートメーションです。マーケター向けに特化したツールがようやくできたというイメージです。
--どのようなプラットフォームを提供していくのか。
福田氏 われわれは、マーケティングオートメーションを、 顧客一人ひとりに合わせた長期の関係を構築できる“エンゲージメントマーケティング”の基盤としています。マーケティングオートメーションをBtoB向けの見込み顧客管理ツールだととらえる向きもありますが、われわれは、BtoB、BtoCといった区分はしません。
BtoCでは例えば、総務省でのICT健康実証事業での基盤で採用されています。T-POINTやスマホアプリと連携し、活動状況に応じてポイントが付与されるなど、主婦向けに健康を増進するためのモデル事業の中で利用され、神奈川県藤沢市で実証実験中です。
製品が担う重点的な目的は、新規顧客の獲得であり、その顧客の価値を最大化するためのツールだと位置付けています。これまでは、性別、年齢など属性情報の比重がマーケティング施策を考案する上で大きい要素だったのですが、今後はモバイルがいっそう重要になってくるため、あるウェブサイトをどのくらい閲覧しているかといった行動情報の占める地位が高くなってきます。それは、アップセル、クロスセル施策にも適用可能です。ビジネスインテリジェンス(BI)機能も備えており、どのような施策が、新規獲得に貢献したかなどがわかります。