IT部門はもはやマーケティングを無視できない
米国では財務データやERPとの連携などにより、データインフラストラクチャを構築する動きがあります。会社全体のデータアーキクテチャの構築はIT部門の役割です。IT部門がカスタマーマスターを作り、それを基に、InformaticaやTIBCO、Oracleなどのデータ連携製品などを介し、マーケティング部門がデータを参照するケースもあります。IT部門はもはや、マーケティングを無視することなど不可能であり、その逆もありえません。顧客に価値を提供することこそ重要です。
単に、企業の基本的なシステムとERPとの連携が重要というわけではありません。最近では電子商取引や顧客関係管理(CRM)、顧客支援、SNSなど、さまざまなシステムがありますが、それらを統合しないと、顧客体験が改善されない点こそ重要です。ユーザーサポートの問い合わせ窓口の対応が悪かったり問い合わせ電話をたらいまわしにされたりすると、エンドユーザーの心証は極めて悪くなります。
エンドユーザーはこのような点を重視して、ロイヤリティを変えていく傾向があります。顧客とのあらゆる接点で、顧客体験をよりよくしていかなければならない。Marketoはここで、あたかもオーケストラの指揮者のようになって、統合に努めていきます。
顧客のデータを統治する場合、接触許可の制御などがありますが、(IT部門が懸念する)セキュリティの点をみると、SaaSベンダーは、かなり注力をしており、データセンター内のディスクにまで暗号をかけるなど、さまざまな配慮がされています。われわれもカリフォルニアに25人の専任要員を配置して、データの保全性を高めています。
--今後の見通しは。
Fernandez氏 全世界的にみてわれわれは、マーケティングオートメーションの領域でのリーダーであると自負しています。1000人の要員を擁して、マーケティングへのニーズにフォーカスしています。競合の大手ITベンダーは、ERPやデータベースなどを重視しています。インターネットが進化し、スマートフォンやIoTが中心となり、高速に前進するデジタルエコノミーの時代となっているが、われわれは十分、追随していけると思います。
われわれの提供するソフトウェアは、容易に使い方を習得することができる点に特に集中しており、利用すれば価値を捕捉できます。これらの特徴は、差別化要因となっています。われわれは、小さな企業であるがゆえに、特定の分野にだけ専心することができます。
これまでの5年間での成長はたいへん速い足取りで進んでいます。粗利や研究・開発投資は、他の黒字企業と同様の水準です。投資をすべて回収できてはいないのですが、新規事業への積極姿勢は投資家からも理解されており、顧客の更新率も87%程度と高く2~5年程度のスパンがあれば、価値の高いリターンを見込めます。12月末日の時点で、2014年と2013年を比較すると、成長率は56%増です。
5年後には、われわれの製品は、マーケティングオートメーションという、(何か特別のものであるかのような)呼ばれ方はしなくなっているでしょう。エンタープライズソフトウェアの大きなカテゴリの1つとなり、何十億ドル規模の分野に成長すると考えています。この領域では現在のところ黎明期にありますが、いずれすべての企業にこの種のソフトが必要とされるようになると思います。
マーケティング部の予算が情報システム部門の予算を上回るというガートナーの予測が議論を呼びましたが、そもそも比較すべきでないものを比較していると思います。マーケティングとITは予算を共有するものです。ただ、テクノロジ関連の予算項目としてはこの5年間でマーケティングが最大の項目になっていくと考えています。