西アフリカレポート

ビジネスチャンスを導くセネガルと日本の共通点 - (page 2)

山田一雅

2015-03-07 07:00

Le Pays en Paix(平和な国)

 セネガルは1960年の独立以来紛争がなく、民主主義を確立して安定した西アフリカの大国という地位を築いてきました。セネガル人も、自国が平和で治安が良いことに誇りを持っています。セネガルの平和を形成している要因として、「宗教対立が起こりづらい」「飢餓に苦しむ人が出にくい」ということが挙げられます。


 国民の94%以上がイスラム教徒で、それにキリスト教徒が続くのですが、まずイスラム教徒が教義に対して寛容です。女性は肌の露出の多い洋服を着ていますし、一部お酒を飲む人もいます。また、イスラム教徒でも教育のためにキリスト教徒の学校に通ったりすることもあり、イスラム教徒とキリスト教徒の仲も良いのです。

 また、セネガルは統計データを見ると貧困率が46.7%(※)と高いですが、飢えに苦しんでいる人を見かけることはありませんし、お金に対してのギラギラとした欲望を目の当たりにすることもありません。これは、イスラム教徒の義務である喜捨に前述のテランガの精神が加わり、困窮者がいたら周囲の人が助けてくれるからのようです。

 このようなセネガルの状況は、アフリカの一般的なイメージとは異なる部分が多いのではないでしょうか。もちろん過信は禁物ですし、現地の文化を尊重する(例:すれ違う人とは挨拶を交わすよう努める)という当たり前の意識は必要ですが、セネガルにおいては、治安上のストレスをほとんど感じることなくビジネスや生活ができます。

※参考:貧困プロファイル セネガル「図表 2 地方別貧困率、貧困ギャップ 2011年」
※参考:貧困プロファイル セネガル「図表 2 地方別貧困率、貧困ギャップ 2011年」

人を思いやり助け合うのが日本との共通点

 「平和憲法」を有する日本、1960年の独立以来紛争と無縁なセネガル。おもてなしやお互い様の精神のある日本、テランガの精神のあるセネガル。平和を愛する心、人の優しさ、温かさという点で2国はとても似ています。

 日本とセネガルの距離は約1万4000㎞もあり、地理的にはとても遠い国といえます。しかし、その距離にもかかわらず、日本はセネガルにおいて、長年の援助や開発により十分存在感を発揮し、強固な信頼関係を有しています。その素地を生かすことで、今後はビジネス面でも2国間の関係性を深めていく事ができるかもしれません。

山田一雅
セネガル在住。日本企業のアフリカビジネスの支援(営業代行、展示会出展代行、市場調査等)や個人向けにアフリカでのホームステイ先の紹介などを手掛ける。趣味は野球。千葉県出身。

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