アジア太平洋地域の半分以上の企業は今も2003を利用
Malanin氏はSpiceworksのデータを引用し、2015年3月の時点で、アジア太平洋地域の企業の59.8%は依然として少なくとも1つのServer 2003インスタンスを自社の環境内で実行していた、と述べた。2014年6月の時点では、そうした企業の割合は64.5%だったという。
シンガポールでは、2015年3月時点の数字は(同地域の市場の中で最も多い)66%で、2014年6月の73%から減少した。マレーシアでは、2015年3月時点で企業の約62%が少なくとも1つのServer 2003インスタンスを自社組織で実行していた。ほかの国々に目を向けると、タイとニュージーランドは61%、インドネシアは58%、オーストラリアは57%、フィリピンは54%だった。
ある組織にとっては、移行することは「純粋に理にかなった決定」だった。製造会社のGhim Li Globalは、シンガポールのデータセンターを移転する際に、その機会を活用して古くなったWindows Serverプラットフォームを段階的に排除し、仮想化を展開した。
Ghim Liのコーポレートサービス担当最高情報責任者(CIO)兼シニアバイスプレジデントを務めるTimothy Ngui氏によると、同社はデータセンター環境を刷新してハイブリッドソリューションを採用することを決めたという。同社はServer 2003とServer 2008を組み合わせて運用していたが、Server 2012の「Datacenter」エディションへの移行を完了した。さらに、ユーザーベースが増大しても新しいハードウェアを展開する必要がなくなったので、サーバの台数(現在38台)も徐々に減らしている、とNgui氏は述べた。これにより、Ghim Liはサーバネットワークを3分の1拡大する必要を回避できるだろう、と同氏は試算している。
Ghim Liが、概念化から実際の展開までを含むServer 2012の移行作業の完了に要した期間は60日で、15以上のアプリケーションが同OSに移植された、とNgui氏は述べた。Ngui氏も先述した報道陣への説明に出席していた。
同社が直面した最大の難題は、ソフトウェア開発企業に自社製品の移行を認めてもらうよう促すことだった、とNgui氏は述べている。その独立系ソフトウェアベンダー(ISV)は、Server 2003プラットフォームにあまりにも慣れ親しんでいたため、アプリケーションを移行に対応させるよう強く要請する必要があった。
IDC Asia/Pacificでエンタープライズインフラストラクチャ担当アソシエイトバイスプレジデントを務めるSimon Piff氏は組織に対して、ISVが仮想化環境への移行に必要なサポートを提供してくれないのなら、ほかの選択肢を模索すべきだと勧めている。
先述した報道陣への説明では、Piff氏も発言した。同氏によると、Server 2012への移行は組織に恩恵をもたらしており、アジア太平洋地域の企業の75%は、パフォーマンス向上によってアプリケーションの動作が高速化したという。さらに、同地域の組織を対象とするIDCの調査結果を引用し、62%の企業では、セキュリティとパッチ管理が改善された結果、予期せぬダウンタイムが減少した、と付け加えた。
また、Piff氏は企業に対して、カスタムサービス契約を結んで自社のServer 2003システムのサポートを延長することは避けるよう呼びかけた。通常、これらの契約では、膨大な台数のサーバを運用しているために、サポート終了の期限に間に合わせることができない組織を想定していることが、その理由だという。
Piff氏は、「カスタムサービス契約は非常に高価でもあり、サーバの規模が巨大でない限り、割に合わない」と述べ、もはやコンプライアンスを満たせなくなったサーバOS上で稼働するアプリケーションをソフトウェアベンダーはサポートしないだろう、と付け加えた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。