朝日カルチャーセンターは、受講者本人の嗜好にマッチした講座を推奨する機能を、同社ウェブサイトに実装し、4月22日より正式に提供を開始した。サービスを提供した日本マイクロソフトとシステムを構築したネクストスケープが、4月22日に発表した。
朝日カルチャーセンターは、1974年から教養、語学、趣味、実益、健康などにかかわる多様な講座を提供している国内最大級の生涯学習センター。日本の生涯学習市場は近年、個人の趣味嗜好の多様化でニーズにマッチした講座の提供が難しくなったことなどから縮小傾向にある。
その中で同社は、全国13教室で展開している講座の情報を発信するウェブサイトのリニューアルに際し、利用者の趣味嗜好に合った講座をより簡単かつ迅速に見つけられる環境を提供することで、より多くの利用者が講座を受講して「知る喜び」「習う喜び」を実感してほしいと考えていたという。
今回、このような目的に沿ってシステムを検討した結果、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」およびその機械学習機能「Azure Machine Learning」(Azure ML)を採用、講座のレコメンデーションを提供することにした。
国内にデータセンターがあること、国内での災害復旧対応(ディザスタリカバリ)が可能なこと、強固なセキュリティなどを評価して判断したとのこと。
システムの特徴は以下の通り。
機械学習でユーザーの嗜好と講座をマッチング
今回のリニューアルでは、以下のような流れで、機械学習を活用した国内初の生涯学習レコメンデーションシステムを実現した。
- 朝日カルチャーセンターのサイトにおける、受講者やログインしていない匿名ユーザーの行動履歴(講座閲覧履歴)を、Azure上に構築されたサイトコアのウェブコンテンツ管理システム「Sitecore Experience Platform」を活用したシステムに収集、蓄積
- 蓄積したデータをAzure MLで分析し、受講者にとって最適な講座情報を発見
- 朝日カルチャーセンターのサイトを、個々の受講者に最適な講座情報が表示されるよう自動的に変更、受講者の興味に合った講座情報を受講者の画面に表示
ウェブ訪問者の全行動履歴の行動特性分析により、より高度なレコメンド機能を提供
システムに蓄積されたウェブ訪問者の全ての行動履歴から、Azure MLで行動特性を分析することで、より訪問者の嗜好にマッチしたレコメンド機能を提供。
クラウドサービスの活用でシステムの計画から実装までを約2週間で実現
従来の機械学習を利用したシステムでは、機械学習アプリケーションをサーバにインストールし、大量のデータとその分析結果をシステム間で通信する必要があり、データ量によっては分析用のハードウェアも調達する必要があるなど、導入・活用の障壁が高かった。
それに対して今回のシステムでは、ウェブコンテンツ管理システムをAzure上に構築することで、分析用ハードウェアの設計や調達にかかる時間と費用を抑え、またAzure MLは高度な専門知識がなくても実装可能な開発環境を提供していることから、計画から実装まで約2週間という短期間で実現できたとのこと。
他社サービスの10分の1のコストで運用
他社が提供している一般的なSaaS型のレコメンデーションエンジンの10分の1のコストで運用。
レコメンデーション画面イメージ
朝日カルチャーセンターでは、今回のレコメンデーション機能の提供により、サイト訪問者の滞在時間と講座情報の閲覧数をそれぞれ30%増加させることで、既存会員一人当たりの受講講座数と新規受講者数を今後1年間でそれぞれ10%増加させたいとしている。
また日本マイクロソフトでは、今回のような低コスト、短納期の機械学習機能をクラウドサービスとして提供することで、機械学習をさまざまな分野で普及、促進させたいとしている。