日本マイクロソフトが、国内文教市場でクラウドサービスのシェアを拡大している。教育機関向けクラウドサービス「Office 365 Education」の国内ユーザー数は、4月時点で280万人を突破。2月の公表値220万人から、2カ月間で60万人増加した。
日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長の中川哲氏は、2月に、競合サービスのGoogle Apps for Educationのユーザー数について「姿が見えないほど離れている」とコメントしているが、この2カ月で、その差はさらに開いたと予想される。
日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長の中川哲氏
直近では、北海道大学と九州大学がOffice 365 Educationの新規導入を決定した。2校ともすでに契約が完了し、導入に向けて準備を進めている段階だという。「これで、7帝大のうち、北大・東大・京大・阪大・九大の5校に導入されたことになる。大手大学で使ってもらい、評判を固めることは次の展開に向けて重要だ」(中川氏)
Office 365 Educationの次の展開先として、日本マイクロソフトがターゲットとしているのは“高等学校”だ。4月から、全国の高校でオンライン会議システムなどを利用した遠隔授業が履修単位として認められるようになったことを足がかりに、遠隔授業の基盤としてOffice 365 Educationの導入を拡大していきたい考えだ。
Office 365 Educationとは
Office 365 Educationのサービス構成と機能、ライセンス体系は企業向けのOffice 365と同様だ。企業向けOffice 365では1ユーザーあたり月額870円で提供している「E1」ライセンスを、教育機関向けのOffice 365 Educationでは無償にしている。
E1ライセンスに含まれる主要サービスは、(1)メールサービス(Exchange Online)、(2)組織内SNS(Yammer Enterprise)、(3)ユニファイドコミュニケーションサービス(Skype for Business)、(4)容量無制限のグループウェアサービス(SharePoint Online)――の4つ。ExcelやWord、PowerPointなどのフル機能を含むOfficeスイート「Office 365 ProPlus」は含まれない。
つまり、Office 365 Educationは、Officeを冠したサービス名称から“教育機関向けの無償Office”と誤解されがちだが、Officeスイートは無償ではない。メール、ウェブ会議システム、グループウェアなどをフリーで提供し、Officeスイートでマネタイズするフリーミアムモデルのビジネスだ。