中堅中小、情報系と顧客管理系は導入済みのパッケージを継続

NO BUDGET

2015-05-20 17:58

 2015年の年商5億~500億円の中堅中小企業の情報系と顧客管理系でのIT投資動向は、パッケージやサービス利用の成長率はシステム構築をわずかに上回り、堅調な推移を見せている。ノークリサーチが5月14日に発表した。

 図1は情報系・顧客管理系システムに対する投資規模算出結果のうち、パッケージとシステム構築のデータをプロットしたもの。2014~2019年の平均成長率を比較すると、システム構築が1.36%であるのに対し、パッケージは2.18%となっている。

図1:情報系・顧客管理系システムの市場規模
図1:情報系・顧客管理系システムの市場規模(ノークリサーチ提供)

 ここでの情報系システムとはメール、グループウェア、社内SNS、ボイスメールなどといった社内外でのコミュニケーションや情報共有を担うシステムを指す。顧客管理系システムとはSFACRM、コンタクトセンターなどといった案件管理や顧客との関係性の維持、改善を図るシステムを指す。

 両者を合計した情報系・顧客管理系の中でも、グループウェアのように歴史がやや古い分野ではシェア上位のパッケージが全体に占める割合も高く、ユーザー企業で導入済みのパッケージをそのまま継続して利用しようとする現状維持志向も強い。

 CRMのように歴史がやや新しい分野では数多くのパッケージがシェアを少しずつ分け合い、シェア値にも常に変動が見られる。分野によって多少の違いはあるものの、年平均成長率が示すように、情報系・顧客管理系システム全体では今後もパッケージ活用が継続していくものと予想される。

 クラウドを含めたサービス利用についても類似の傾向を示しており、“個別に作る”形から“利用する”形への移行がさらに進んでいくと考えられる。

図2:情報系・顧客管理系システム投資額での投資対象項目比率
図2:情報系・顧客管理系システム投資額での投資対象項目比率(ノークリサーチ提供)

 図2は2015年の投資規模算出結果について、上記の投資対象項目の比率をプロットしたもの。現時点では「情報系/顧客管理系システム運用」の比率も比較的高いが、ハードウェアやアプリケーションを対象としたシンプルな保守とサポートに関しては今後の成長はあまり期待できないと予想される。

 調査レポートではIT投資規模の算出に加えて、今後の投資意向も分析している。そうした今後の投資意向を年商別、業種別、所在地別といった複数の観点で把握し、企業セグメントに適してアプローチすることが重要と説明。図3は所在地別に集計した今後の投資意向のうち、首都圏、東海、近畿に関する結果の一部をプロットしたもの。全体として、以下のような傾向が読み取れる。

  • 首都圏と近畿ではIaaS活用の意向が東海と比べて高い
  • 首都圏ではIaaSの活用意向が社内設置の意向を上回っている
  • 東海ではスマートデバイス活用の意向が他の2地域と比べて低い
  • 東海ではIaaSやホスティング/IaaSと比べて社内設置意向が高い
  • 近畿は高機能なパッケージの導入意向が3地域の中では最も高い
  • 近畿はオフィス文書との親和性を他の2地域と比べて重視している
図3:情報系・顧客管理系システム投資の今後の方針
図3:情報系・顧客管理系システム投資の今後の方針(ノークリサーチ提供)

 この結果を踏まえると、「首都圏ではIaaS活用の訴求を強化」「東海では現状のシステム形態を維持し、別の何らかの差別化要因を検討」「近畿ではオフィス文書との連携など、機能面での強化を模索」といった施策が候補として挙がってくる。こうした傾向の違いは、年商別や業種別に見た場合にもみられる。それらを総合的に判断して、適切な製品やサービスを提示していくことが重要と提言している。

 調査は、同社が発刊する「2015年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」に向けて行われたもので、年商5億~500億円の国内企業を対象として1~4月に実施され、有効回答数は771社。

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