駆動時間と操作性を重視、桐蔭学園の1人1台iPad - 4/6

羽野三千世 (編集部)

2015-05-18 11:51

 横浜市青葉区にある学園は、幼稚部から小中高、大学院まで有する大規模私立学校だ。同学園では、4月から、中学校と中等教育学校1年生の生徒約500人に対して、1人1台のiPad端末を貸与し、授業で活用している。

 iPadとあわせて、アイキューブドシステムズのMDM(モバイルデバイス管理)サービス「CLOMO」、デジタルアーツのスマートデバイス向けウェブフィルタリング「i-FILTER ブラウザー&クラウド」、LoiLoのタブレット端末用授業支援アプリケーション「ロイロノート・スクール」などのシステムも導入した。

 ロイロノートは、(1)テキストや画像、動画をカードのように展開し、カードをつなげて教材やプレゼンテーション資料を作成する機能、(2)教師の質問に対する生徒全員の回答を一覧表示する機能、(3)生徒同士でカードを送り合う機能、(4)教師から生徒の端末へ教材を一斉配布する機能――などを備える。

 端末選定からシステム導入までを担当した同学園 中学校男子部 教諭の山口大輔氏に話を聞いた。

――タブレット端末導入の目的は何ですか。

 国が掲げる「2020年までに児童生徒1人1台の情報端末」の目標を受けたものです。一斉学習、協働学習、個別学習の3つの環境を実現するために、iPad Air 2の64Gバイトモデルを導入しました。

 4月から、中学校と中等教育学校1年生の生徒約500人に1人1台、および教員用に約140台、合計640台以上が稼働しています。教科を限定せずに、すべての教科で各教師の判断により授業で利用しています。

――端末選定で重視したポイントを教えてください。

 第1優先事項は、授業時間の8時から15時までバッテリが駆動すること。第2優先事項は、端末の操作について学校から指導することが少ないこと。この2つの観点で、Windowsタブレット、Android端末、iOS端末、Chromebookを検討した結果、iOS端末になりました。

 iOS端末の種類については、サイズや価格を含めて、iPad Air、iPad Air 2、iPad miniを検討しました。画面サイズは大きい方がよいという中学1年の担当教員から要望があったこと、市場の流通状況を鑑みた結果、iPad Air 2に決まりました。また、メモリは一定量必要であろうという判断で、64Gバイトを選定しています。

 Wi-FiモデルとSIMモデルでの比較検討も実施しました。アプリケーション配布にはWi-Fi環境の設備が必要なわけですが、SIMモデルを選定するとWi-Fiの設備費と、SIMの通信費が二重に発生してしまうため、今回は設備費だけで導入できるWi-Fiモデルに決めました。

――ロイロノート、i-FILTER、CLOMOを導入した狙いと利用方法を教えてください。

 ロイロノートは、主に協働学習のためのツールとして導入しました。それ以外にも、教師が電子黒板と組み合わせて板書の代わりに使用したり、生徒がプレゼンテーションするツールとして利用したり、活用方法はさまざまです。

 i-FILTERは家庭での個別学習のために導入しました。調べ物学習で検索エンジンを利用する際、授業中は学内ファイヤウォールのフィルターがありますが、家庭では無防備になってしまう。学校から貸与している教材用の端末ですから、教材に相応しいサイトのみを閲覧できるようにフィルタリングしています。

 ちなみに、学校のポリシーとして、端末を使って生徒同士がオンラインコミュニケーションを取り合うことはブロックしています。これは、端末を導入した中学1年生の年齢を考慮したものです。中学1年生は、これからITリテラシを学ぶ年齢ですから、十分に知識を持たないままにオンラインコミュニケーションを行うべきではないという判断です。教師と生徒間でオンラインに連絡を取り合うことは許可しています。

 CLOMOは、今後の導入端末台数の拡大を見越して導入しました。来年度の中学1年生にも1人1台のタブレット端末を配布する予定であり、順次ほかの学年にも導入を進めていく計画です。そうなると、いつかは大手企業並みの台数で、端末管理とアプリケーション配布が必要になる。そのような理由から、大規模企業での導入実績があるCLOMOを導入しました。

iPadとロイロノートを使ったプレゼンテーション

iPadとロイロノートを使ったプレゼンテーション

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