SaaS形式で人事や財務などの基幹業務システム(ERP)を提供するWorkdayの日本法人は5月26日、日本での事業状況を説明する記者向けブリーフィングを開催した。機械学習を活用した人事システムの新機能も紹介している。
また、米国では同日に、日本の大手製造業が新たに同社のサービスを採用することを発表する予定とのこと。
日本法人の代表取締役社長を務める金翰新氏は、国内でのファーストリテイリングによる採用をきっかけに、商談の進み具合が飛躍的に良くなってきていると話した。日本で給与計算アウトソーシング事業を手掛けるペイロールと5月12日に、パートナーシップを締結したことにも触れた。
日本法人の代表取締役社長を務める金翰新氏
金氏は、Workdayの強みについて「ユーザー企業全925社がすべて同じバージョンを使っていること」と話す。顧客サポートの負担が軽いという利点だけでなく、基盤も共通化できるため、開発コストを抑えられるという。
また、ユーザー企業同士が対話する機会があれば、そこから届くフィードバックをソフトウェアの改善や新規開発に生かすことできるため、アプリケーションの機能や品質を高めるサイクルが作れると述べた。
機械学習で離職を予防へ
同社は、2014年11月に発表した、機械学習のアルゴリズムを用いるアプリケーションスイート「Workdayインサイトアプリケーション」の第1弾製品として、新機能「Workdayタレントインサイト」を説明した。
一般に機械学習は、消費者の行動を分析し、消費者本人も気づいていないような嗜好(しこう)を見つけ出すといったイメージで使われるが、タレントインサイトは、ここでの消費者を従業員に起き換え、従業員自身も気づいていないような事柄を見つけられるようにする。
主に、過去の従業員の行動をはじめとしたデータを機械学習の仕組みで分析し、現状在籍している貢献度の高い従業員の離職リスクを測定し、離職の確率を示すだけでなく、金銭的な被害額なども提示するという。
さらに、その従業員を引き留めるために実施するべき対策を推奨するとのこと。データサイエンスと機械学習を使ったアプリケーションだと説明している。
「インサイトアプリケーションはこれまで、別ベンダーはいろいろ組み合わせて実現してきた。われわれはレコメンデーションを含めて、シングルプラットフォームで実現している製品はなかなかない」と金氏は自信を見せた。
同社はこうした機能を、Dellや3Mといったパートナーと一緒に開発しているという。
新製品のもう1つの主要機能が、給与計算において、既に導入しているシステムやアウトソースしている環境を双方向で統合できるツール「Cloud Connector for Third-Party Payroll」。
給与計算について、企業が持つ既存システムやアウトソースしているシステムと、Workdayの給与計算環境をAPIを経由して連携できる。これを実現するために、「Global Paryroll Cloud Partner」制度を立ち上げ、ペイロールとの提携にこぎつけた。今後もパートナーシップを広げていくとしている。