「Windows」の新バージョン「Windows 10」がリリースされた。OSの新バージョンがリリースされる際には、ある種の盛り上がりがつきものだが、今回のWindows 10は少し違った状況となっている。
大部分のコンシューマーは無料でWindows 10を入手できるため、Microsoftがすぐさま巨額のライセンス収入を手にすることはないだろう。また、PC販売が大きく伸びるということもないはずだ。というのも、Windows 10のために新たなマシンを購入しなくても、この新OSは多くの既存PCで問題なく稼働するためだ。こういった点でWindows 10は、Windows関連のビジネスモデルがここ数年でどれだけ変わってきたのかを示す最も明らかな例と言えるだろう。
Windows 10は多くの点で、販売が思わしくなかった「Windows 8」の問題を修正した製品と言える。Windows 8はリリースされて3年になるが、NetMarketShareの調査によると、PC市場のシェアを13%しか獲得できておらず、「Windows 7」(51%)と「Windows XP」(24%)がいまだに高いシェアを保っている。
Windows 8に対する一般的な見方は、タブレット上での動作を重視するあまり、主軸であるPC上での動作についての考慮が十分なされていないというものだ。この点について、Microsoft製品を愛用しているユーザーは混乱し、憤慨することになったわけだ。Windows 10はユーザーのこうした不満を少しでも解消しようとしている。
とはいえ、同社の目はいまだにPCを超えた世界を見据えている。その大望は最終的に、PCだけでなくスマートフォンやタブレットを含む、10億台のデバイス上でWindows 10を稼働させるというものだ。この点から見た場合、Windows 10の目標は、WindowsのライセンスやPCを販売するというところにではなく、もっと幅広く、そして大きなところにあると言えるだろう。
ここでの問題は、スマートフォンやタブレット向けのOS、すなわち「Android」や「iOS」という、実績のあるものが既に存在しており、Windows 10がいずれかのOSの地位を奪い取れるかどうかは未知数だという点にある。