海外コメンタリー

過去を克服した「Windows 10」、PC市場に頼れない今後の勝算は?

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-08-10 06:15

 「Windows」の新バージョン「Windows 10」がリリースされた。OSの新バージョンがリリースされる際には、ある種の盛り上がりがつきものだが、今回のWindows 10は少し違った状況となっている。

 大部分のコンシューマーは無料でWindows 10を入手できるため、Microsoftがすぐさま巨額のライセンス収入を手にすることはないだろう。また、PC販売が大きく伸びるということもないはずだ。というのも、Windows 10のために新たなマシンを購入しなくても、この新OSは多くの既存PCで問題なく稼働するためだ。こういった点でWindows 10は、Windows関連のビジネスモデルがここ数年でどれだけ変わってきたのかを示す最も明らかな例と言えるだろう。

 Windows 10は多くの点で、販売が思わしくなかった「Windows 8」の問題を修正した製品と言える。Windows 8はリリースされて3年になるが、NetMarketShareの調査によると、PC市場のシェアを13%しか獲得できておらず、「Windows 7」(51%)と「Windows XP」(24%)がいまだに高いシェアを保っている。

 Windows 8に対する一般的な見方は、タブレット上での動作を重視するあまり、主軸であるPC上での動作についての考慮が十分なされていないというものだ。この点について、Microsoft製品を愛用しているユーザーは混乱し、憤慨することになったわけだ。Windows 10はユーザーのこうした不満を少しでも解消しようとしている。

 とはいえ、同社の目はいまだにPCを超えた世界を見据えている。その大望は最終的に、PCだけでなくスマートフォンやタブレットを含む、10億台のデバイス上でWindows 10を稼働させるというものだ。この点から見た場合、Windows 10の目標は、WindowsのライセンスやPCを販売するというところにではなく、もっと幅広く、そして大きなところにあると言えるだろう。

 ここでの問題は、スマートフォンやタブレット向けのOS、すなわち「Android」や「iOS」という、実績のあるものが既に存在しており、Windows 10がいずれかのOSの地位を奪い取れるかどうかは未知数だという点にある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]