クウェートの国営石油会社であるKuwait National Petroleum Company(KNPC)で構築中の大型製油プラント「ミナアルアハマディ製油所」で日本製の通信システムと物理セキュリティシステムを採用することが決まった。同プラントの構築に携わっている日揮からシステムを受注したNECが8月17日に発表した。受注額は約13億円で、12月からシステムを納入する。
NECが同製油所に提供するのは、IP電話や有線と無線のLANなどの通信システム、映像監視や入退場管理、緊急放送などの物理セキュリティシステム。NECでは、システムの設計から機材調達、試験までを受注した。今回、NECがKNPC向けに提供するシステムの概要は以下の通り。
- 通信システム
- 構内IP電話システム:内線電話、ビデオ会議機能
- 構内有線・無線LANシステム:構内データネットワークシステム
- 無線通話システム:プラント作業員の通話用の携帯端末、車載端末の提供
- 物理セキュリティシステム
- 緊急アラートシステム:スピーカや回転灯で緊急事態の発生を作業員に伝える
- 映像監視システム:プロセスエリア(製油エリア)に約30台、中央コントロールセンター(入退場エリア含む)に約30台、計60台の監視カメラを設置し、センターで一元的に把握
- 入退場管理システム:IDカードによる認証
製油プラントでの通信システムなどには、高度な信頼性と耐環境性能が求められるほか、火災や爆発のリスクに配慮した設計など、特殊な技術やノウハウが必要になるという。NECグループは、これまでもサウジアラビアの国営石油会社であるSaudi Aramcoの大規模石油プラントをはじめ、プラント向け通信システムなどを構築した経験と実績があり、今回の受注は長年のシステム構築運用実績に加え、最先端の技術力が評価されたと説明している。
NECは今後、顔認証技術や群衆行動解析技術、超解像技術など同社の画像認識技術やセキュリティ技術をプラント向け通信とあわせてエンジニアリング会社などに提案することで、製油所や発電所など重要施設の安全安心な運用に貢献していくとしている。