UPDATE 「『New Coke』の登場以来、最大のヒット商品だ」。
これは、「Windows 95」発売の行列に並んだある人が述べた言葉だ。今から20年前の米国時間1995年8月24日、Windows 95が米国で発売された。深夜の熱狂的な発売記念イベントに参加するために多くの人々が何ブロックもの行列を作り、Windows 95のパッケージ版に210ドルを支払った。
2015年7月、Microsoftは、このときよりはるかに控えめなやり方でWindowsの最新版をリリースし、爆発的な人気を呼んだWindows 95の発売を引き合いに出すことはなかった。Microsoftは7月29日、「Windows 7」および「Windows 8」のユーザーに向けて「Windows 10」を無料アップグレードとして提供開始したため、ユーザーを長蛇の列に並ばせる必要はなかった。
今日、テクノロジの世界は様変わりし、Microsoftも20年前とはまったく違う企業になった。
1995年当時のMicrosoftは、今よりかなり規模の小さい企業で、売上高が59億ドルで従業員数が1万7800人だった。現在のMicrosoftは、売上高が936億ドルで従業員数11万7354人の巨大企業だ。とはいえ、既に20年前にはPC業界を支配するところまで近づいていた。
The New York Timesは、Windows 95の発売を伝える記事で次のように述べた。「コンピュータの使用がここまで普及し、MicrosoftのPC業界を支配する力がここまで強くなったことで、Windows 95の発売は国民的イベントのような規模となった。まるで8月の新しい休日は、億万長者のMicrosoft社長にちなみ、『Bill Gates Day』と命名されるとでも言わんばかりだ」
5年前ですら、Microsoftと同社のWindows事業部門は現在とは異なる立ち位置にあった。最高経営責任者(CEO)はSteve Ballmer氏だ。Windowsを取り仕切るのはSteven Sinofsky氏であり、Microsoftの企業戦略はWindows製品群を何が何でも守ることが中心にあった。同社は、Windows 8と「Internet Explorer 9(IE 9)」の開発段階にあった。秘密主義と外部テスターの意見をあまり取り入れない姿勢は、MicrosoftのWindows戦略の大きな要素となっていた。
われわれの一部はつい最近まで、Microsoftが「Windows 10」提供開始の時期を調整してWindows 95発売20周年に合わせるかについて、考えをめぐらせていた。今になってみれば、Microsoftがこの考えを採用しなかった理由を理解できる。
Windows 95のように費用のかかる象徴的なWindows製品が今後リリースされることはないだろう。それに、Satya Nadella氏率いるMicrosoftは将来を見据え、Microsoftの旧製品や以前のプロセスからは一線を画そうとしている。
Nadella氏はCEOに選任後まもなく、従業員に宛てた電子メールで「われわれ業界は、伝統に敬意を表することはない。革新にだけ敬意を唯一示す」と述べた。
Microsoftの歴史でみると、Windows 95は1つの時代の始まりであり、終わりでもあった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。