海外コメンタリー

オープンではないオープンソースプロジェクトを憂慮--MapR製品のエキスパートが語る - (page 2)

Toby Wolpe (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-09-01 06:30

 「ある時、『私はApacheにどっぷり首までつかっている人間だ。だから、Hadoop関連のプロジェクト数を知っておく必要がある。おそらく15~20程度はあるはずだ』と思い立ち、プロジェクトの数を数えてみた。そして200以上あるApacheのプロジェクトと、インキュベータープロジェクトすべてに目を通してみた結果、40近くもあると分かった」(Dunning氏)

 そして同氏は「私は内情に通じているはずだったが、思っていた数の2倍もあった。Apacheだけで予想の倍もあった点を考えると、Apache以外まで考慮すると、数え切れないほどのプロジェクトが出てくるはずだ。つまり、非常に多く、明らかに混乱を呼ぶ状態となっているわけだ。専門の仕事としてやっていない限り、すべての関連プロジェクトを列挙することなど到底できないだろう」と続けた。

 とはいえ、イノベーションの数が多いというのは歓迎すべき話だ。優れたアイデアを思いついた人々が、コミュニティ内でそれをテストしたいと考えるのは当然だろう。

 同氏は「そのような思いはあって当然だが、解決すべき仕事を抱えている人々に提示する際にはその思いを少しばかり抑える必要がある」と述べている。

 「こういったプロジェクトのもう1つの、そして好ましからざる側面は、人々がオープンソースの精神を受け入れていない場合に姿を現す。自らが抱えている仕事に何らかの価値をもたらさなければならない点、そしてオープンソースとしての世界であなたの成し遂げた成果に対する謝辞がなくても満足しなければならない点を考えた場合、(オープンソースの精神を受け入れるのは)簡単ではない。この2つの点は基本的に、同時には相いれないのだ」(Dunning氏)

 Dunning氏の主張によると、技術的財産や知的財産についての核となる価値を保有していない企業は、プロジェクトとの関係を確立するうえで苦労することになるという。

 同氏は「彼らはApacheプロジェクトを所有しようとする。そのような行為は避けるべきだ。しかし、『核となる価値を手に入れたい』という思いと『オープンでいたい』という思いが競合する場合、オープンかクローズドかという意思を明確にできないまま板挟みの状態に陥ってしまうことになる」と述べている。

 「その結果が、オープンソースを名乗るクローズドなコミュニティの形成につながる。そして『すまない、われわれだけが開発者なのだ』といった発言が飛び出すわけだ。Hadoopプロジェクト本体の話ではないが、委員会の中核メンバーの90%以上が、ある特定のHadoopベンダーに属しているというApacheプロジェクトも複数ある。これはもはやコミュニティのプロジェクトとは言えない。実際のところ、本当の意味でのクローズドコミュニティではないとはいえ、オープンなコミュニティでもない。私はこれが悲惨な状況だと考えている」(Dunning氏)

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