山梨県甲州市は、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)運用に向けて、マイナンバーを扱う全ての住民基本台帳システム端末約160台のセキュリティ強化のため顔認証セキュリティソフトウェアを導入することを決定した。マイナンバー制度運用開始に合わせ2016年1月に利用を開始する予定。製品を提供するNECが9月14日に発表した。
甲府市役所(NEC提供)
採用が決まったのは、NECの「NeoFace Monitor V2」。認証精度で世界一とされる同社の顔認証エンジンをベースに、顔認証によるPCログオンや、ログオン中の利用者の常時監視を可能とするソフトウェア。
マイナンバーの交付主体であり、社会保障や税などマイナンバーを利用するサービスの提供者でもある自治体は、来年に迫ったマイナンバー利用開始までの限られた期間の中で、業務とシステム両面から様々な対策を講じる必要がある。
特にマイナンバーを含む個人情報は、番号法により「特定個人情報」に定義され、厳格な安全管理が求められている。甲州市では、市役所の窓口業務などマイナンバーを扱う全ての端末に本ソフトウェアを利用した顔認証を導入することで、マイナンバーを含む住民情報の安全確保に万全を期すとともに、市民サービスの向上につなげる考え。
「NeoFace Monitor V2」利用イメージ(NEC提供)
NeoFace Monitor V2導入により期待される効果は以下の通り。
住民情報への不正アクセスのリスクを抜本的に低減
顔認証は、IDカードや認証IDによる認証と違って盗難・紛失などのリスクが少なく、なりすましなどの不正利用を防ぐことができる。端末を複数の職員で共有する場合でも、利用者を個人単位で認証し、いつ誰がアクセスしたという利用履歴が確実に残るため、職員の不正利用への心理的な抑止効果も期待できる。
離席時や未登録ユーザ着席時は自動で画面をロックし、情報漏えいを防止
常時監視機能により、端末利用者の離席をすぐに検知して自動で画面をロックするとともに、ログオン中に未登録ユーザーが着席した場合も検知して画面をロックするため、未登録ユーザーによる不正利用を確実に防げる。
高い利便性とセキュリティの両立により市民サービスの向上に貢献
職員は端末の前に座るだけで瞬時にログオンできるため、作業開始までの時間が大幅に短縮するなど効率化される。これにより、住民情報への安全なアクセスを実現しながら、市民サービスの向上も両立する。