期待高まる「Industrie 4.0」--メリットと課題はなにか

末岡洋子 2015年10月22日 07時00分

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 ドイツが好調な経済を追い風に”Industrie 4.0”として、新しい産業革命を起こそうと試みている。Huawei Technologiesが6月にドイツで開催した「Huawei Innovation Day 2015」でのパネルではIndustrie 4.0では、実現に向けた課題が話し合われた。センサーとインターネットの力を借りて、効率化、そして新しいビジネスモデルを――日本でも学ぶべき点は多いだろう。


左からSAPのChristoph Behrendt氏、SiemensのDieter Wegener氏、HuaweiのWalter Weigel氏、モデレーター、AccentureのAlexander Zeier氏、Fraunhofer ESKのMike Heidrich氏、
Tele2 GroupのRami Avidan氏

 なぜドイツでIndustrie 4.0が生まれたのか――その背景には、戦後から80年代まで続いた、製造業を中心とした経済を維持していたことが無関係ではなさそうだ。

 7月、ギリシャ危機で大わらわのドイツ政府で経済エネルギー省政務長官を務めるBrigitte Zypries氏のオフィスを訪ねた。Zypries氏が急遽開かれた議会に出席するため、秘書のChiara Santagelo氏が取材に応じてくれた。

 プライバシーの懸念からGoogleの「Street View」に猛反対が起きるなど、ドイツは保守的な側面がある。タクシー配車サービスUberなど、シリコンバレー発の既存産業を崩壊するようなサービスは、時としてこの国での展開に苦戦することがある。

 だが、すべてを保護しようというのではないという。「イノベーションを禁じることはできない。そんなことをしていると、遅れてしまう」とSantagelo氏。その中にあってIndustrie 4.0はドイツ政府が民間と共同で打ち出した”革命”だ。水力・蒸気力、電力、コンピューターに続く4番目の革命とも言われている。センサとインターネットのInternet of Things(IoT)を主に産業に役立てるのがポイントだ。

 Santagelo氏はなぜIndustrie 4.0なのか、次のように語る。「ドイツでは産業を手放すことなく、国内にとどめた。2000年代初期のインターネットバブル崩壊時も、Siemensがモバイル端末事業を手放すなどのことがあったが、現在でも船舶、航空、自動車などを製造している」。そしてやってきたIoTの時代、技術革新と技術コスト低下を活用して製造業を再生させるのがIndustrie 4.0のコンセプトだ。

 「Industrie 4.0は大企業だけではなく、ドイツ全体をモデルにしている」とSantagelo氏。ドイツにはSiemens、Volkswagenなどの自動車メーカーが多数ある。一方で、この国は家族経営の小規模企業の宝庫でもある。

 これらの企業は「目立たないが世界でも高い評価を受けた優秀な企業だ」とSantagelo氏、ドイツ経済を支える重要な存在だ。そこで政府ではこれらの企業向けに3億ユーロを投じて、Industrie 4.0をテーマとした情報・デモセンターを全国5カ所に立ち上げる計画だ。

 Industrie 4.0はスマート工場がスタートするが、それにあたっての課題は何だろうか――。Huaweiのイベントでのパネルで話し合われた。

 まず、Siemensでデジタルファクトリー部門を率い、Industrie 4.0のコーディネーターを務めるDieter Wegener氏が、Industrie 4.0のビジョン実現には、「バリューチェーンのデジタル化、製品のデジタル化、デジタル化された世界で新しいビジネスモデルを実装する」の3つの要素がそろう必要があるとする。

 部分的に実装されていることはあるが、すべてをシームレスに統合している例はないという。Siemensは5月、自社のIoTプラットフォームでSAPと提携を発表している。

 「データ構造など標準化されたアプローチを探る必要があるが、定義して標準化すべき部分がたくさんある」とWegener氏は課題を語る。

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