ノークリサーチは9月28日、中堅・中小企業におけるスマートデバイスの活用シーンに関する調査の結果を発表した。調査は日本全国全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業において、PCやスマートデバイスの活用において最終決裁、計画立案、情報収集、管理/運用といった職責を担っている社員を対象として2015年7月に実施され、有効回答件数は496件。それによると、ユーザー企業が求めるのは「新たなビジネスを実現する手段」としてのスマートデバイス活用であるという。
PCとスマートデバイスの比率を選択した理由(いくつでも)(ノークリサーチ提供)
上のグラフは、一年後を想定した場合の業務システム端末に占めるPCとスマートデバイスの比率について尋ねた後、どのような理由で考えているかを質問した結果の1つ。スマートデバイスを「新しいビジネスを実現するための手段」としてとらえているかどうかと、今後のスマートデバイス活用の方針の関連性が分かる。
「新しいビジネス形態を模索したい」といった理由を挙げる割合は「特定の部署や業務に限定して、スマートデバイスの比率を増やす」という方針のユーザー企業では36.2%、「全社的にスマートデバイスの比率を増やす」という方針の場合には32.5%と、ともに高い値を示している。
一方で「現状の比率を維持する」と回答したユーザー企業においては7.3%にとどまっている。つまり、スマートデバイス活用に積極的なユーザー企業は、スマートデバイスをPCの単なる代替としてではなく、「新しいビジネスを実現するための手段」としてとらえていることが分かる。
業務パッケージのスマートデバイス対応だけではカバーできない活用シーンの提示が必要
スマートデバイス活用に積極的な中堅・中小企業はスマートデバイスを「新しいビジネスを実現するための手段」ととらえているものの、ユーザー企業自身がその際の具体的な活用シーンを描き出すことは難しい。つまり、IT企業がスマートデバイス活用を訴求する際には、IT企業側がユーザー企業の発想を後押しする具体的な活用シーンを提示する必要があると言える。
導入済みまたは導入を予定/検討しているスマートデバイス端末の活用法(複数回答可)(ノークリサーチ提供)
上のグラフは、様々な活用シーンを列挙してニーズを質問した中から「全業種共通」の一部を抜粋し、2014年調査(前回の調査レポート)の結果と2015年調査(今回の調査レポート)の結果を比較したもの。
いずれの選択肢も2014年に比べ2015年の回答割合が低くなっている。ワークフローや販売/仕入/在庫管理システムでは業務パッケージが標準機能としてスマートデバイス対応を進めているケースも少なくないことから、グラフに挙げたような活用シーンについてはユーザー企業が自らスマートデバイス対応に取り組む必要性が低くなっているものと考えられる。
このように、活用シーンの中にはニーズが高まっているものもあれば、そうでないものもある。それらの違いを踏まえた上で活用シーンを提示していくことが非常に重要となる。