スレットインテリジェンス(Threat Intelligence)とは
現在多くのセキュリティベンダーなどからスレットインテリジェンスという名のサービスやレポートが提供されている。中身は多種多様で、マルウェアや脆弱性情報であったり、検出や発見に役立つマルウェアの痕跡情報であるIoC(Indicator of Compromise)の提供、またはSOC(Security Operation Center)などのセキュリティサービスであったりする。当社の考えるスレットインテリジェンスを定義するため、まずはインテリジェンスとは何かを明確にしよう。
広辞苑によるとインテリジェンスとは、(1)知能 知性 理知(2)情報 とある。しかし海外ではそれらに加え、「国家安全保障に関連する情報」という意味をもつ。さらにこの場合、その情報を取り扱う組織やプロセスといったものもインテリジェンスと呼ぶ。このようにインテリジェンスという言葉は文脈によりさまざまな使われ方をする。
米国でさまざまなインテリジェンス機関の要職につき、大学でインテリジェンス関連の教鞭をとった Mark M. Lowenthal氏によると、インテリジェンスとは「さまざまな形で政策決定者を支援することを唯一の目的として存在する」 [ Mark M. Lowenthal 2011]と述べている。すなわち、
- 意思決定を支援するため (目的)
- 適切な能力を持った組織・プロセスにより (組織・プロセス)
- 取捨選択、分析、評価された情報 (成果物)
といえる。これにならい定義すれば、スレットインテリジェンスとは「脅威に対する意思決定を支援する、適切に分析・評価された情報」である。