また、ユーザーがタイプする情報や音声で伝える情報は、無作為に収集されてMicrosoftが使うために保存されるわけではない。その情報は入力を表す。たとえばCortanaに、友人と特定の場所で会う予定を作成してほしいと頼んだ場合、Cortanaはその友人を連絡先から見つけ出して、場所を特定し、カレンダーに追加する必要がある。この名前や場所といった詳細情報は、ユーザーのパーソナライズされた辞書に保存される。Microsoftは次のように説明している。
テキストによる提案や自動修正が実際に役に立つものになるよう、ユーザーがタイプした言葉や手書きした言葉のサンプルを使って、パーソナライズされた辞書を作成する。
タイプしたデータには、ユーザーがキー入力する文字や単語、手作業でテキストに施した変更、自分の辞書に追加した単語のサンプルなどがある。IDやIPアドレスなど、ユーザーの特定に使われる可能性のあるデータは自動的に除外される。
(中略)
キー入力、手書き、音声のデータが有効になると、キー入力情報や手書き情報の少量のサンプルを使って、全Windowsユーザーのために、辞書の品質や手書き文字認識の精度を向上させる。
これはどう考えてもキーロガーの定義に当てはまらない。
広告データ
Microsoftはもはや広告事業の主要なプレーヤーではない。その取り組みは、悲惨な結果となったaQuantive買収の減損処理後に終焉を迎えた。
Appleと同様にMicrosoftも、作成したアプリを「Windows Store」から提供する開発者に対し、アプリで広告を活用することを認めている。Windows 10には広告IDが含まれており、Microsoftの広告サーバはこのIDを利用して、アプリ間を移動するユーザーがどの広告を見たのかを追跡している。ユーザーの個人情報はアプリ開発者と共有されない。むしろ、広告IDの目的は、広告体験をユーザーが許容できるものにすることだ。
この考えが気に入らないのなら、アプリの広告IDを無効化するといい。
さらに重要なことは、MicrosoftはGoogleと異なり、世界の情報を収集して自社の広告事業の基盤として利用しているわけではない。具体的には、同社はこう説明している。
ユーザーの電子メール、チャット、ビデオ通話、ボイスメールの内容、あるいは文書、写真、その他の個人的なファイルを利用して、表示する広告を選ぶようなことはしない。
一部の他社プラットフォームと異なり、どういったプライバシーオプションを選択しても、Windows 10やその他のMicrosoft製ソフトウェアが電子メールなどの通信やファイルの内容をスキャンして、ターゲット広告を配信することはない。
コンピューティングデバイスを完全に切断することができるという考えは、ますます時代遅れになっている。確かに極端なケースもあり、活動家や機密性の高い取引に関わる人は、グローバルネットワークとやりとりされるすべてのパケットに神経をとがらせなければならない。だからこそWindows 10には多様な「Group Policy」設定が用意されており、ITプロフェッショナルがデバイスをロックダウンできるようになっている。
インターネットはほとんどのユーザーにとって、他人や組織との情報共有に適した場であるが、そうしたインターネットの取引には透明性が求められ、継続的な監視活動は確実にポリシーと慣行が合致している必要がある。そうした世界を実現するためには、これらの問題について冷静に議論し、被害妄想に陥るのを避ける必要もある。Microsoftにとって、28日の広報はその議論における正しい第一歩だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。