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大木豊成「Apple法人ユースの取説」

Macは企業で使いものになるのか - (page 2)

大木豊成

2015-10-01 12:00

 日本の多くの企業では、ほとんどPCを研修していない。それは、「いまどき使いこなせて当たり前」という考えに基づいているからだ。しかし、筆者の前職では、IT最前線の企業にも関わらず、自宅にPCを持っていない新卒が続々と入社していた。本人は大学で使っていたとは言っていたが、両手の人差し指だけでキーボードを打つ、ある意味で器用な姿に愕然としたものだ。

 中途採用になったらもっと個人差がある。IT企業でプログラマーやシステムエンジニアとして採用された人ならいざ知らず、一般企業で働いている人たちが、必ずPCを使いこなせるとは限らない。それは、その人の今までの業務内容や、個人のスキルに依存することになる。しかし、そこを軽視する企業、人事部門は少なくないようだ。

 そのため、たいしてPCを触れない、あるいは必要最小限しか使いこなせない人がそのままになっている。本人も、たいして興味を持っていないので自宅で練習するといったこともしないのだ。そのため、もともとWindows PCを使いこなせないまま今日に至っている人たちには、それがMacになったことで自分が使いこなせない「いい理由」になっているだけに過ぎないのだ。

MacのOfficeに問題はない

 この記事を読んでいるみなさんには、ここで言うOfficeは事務所のことではないのは自明だろう。間違いなくMicrosoft Officeのことであり、PowerPoint、Word、Excelのことだ。Officeは、Windows用があるのと同時に、Mac用も存在している。

 筆者は、ExcelがMac専用として発表された1985年頃から使っているが、Office for Mac 2008(2008年発売)頃までは、残念ながらあまりいい出来とはいえなかった。Windows版で出来るファイルへのパスワードロックをMac版のPowerPointでは解除できない(設定もできない)といった不具合があったが、それはOffice for Mac 2011(2010年発売)ではすべて解消されたうえに、使い勝手も格段に上がった。

 現在のOffice for Mac 2016は、まだパフォーマンスに課題はあるものの、Windows版との互換性には問題はなく、Windowsユーザーとファイルの受け渡しをしても、レイアウトが崩れるとか、マクロが壊れるという問題はなくなっている。


課題は社内システムとファイルサーバだ

 Macを使い始めた方々が、最初に戸惑うのが社内システムだ。社内システムにはさまざまなものがある。顧客管理、生産管理、販売管理、営業管理など、ありとあらゆる「管理システム」が存在し、それらの多くは、Windows前提で作られている。IE(Internet Explorer)でアクセスすることを前提としており、Windows独自の機能を使っているため、Macでアクセスするには問題が生じることが多いのだ。

 これらの社内システムは、1990年代あるいは2000年初頭に作られたものが多く、もともとWindowsでアクセスしても決してパフォーマンスがいいものとは言えない。

 であれば、新たに開発するのも多額のコストがかかるのだから、このタイミングでクラウドサービスに移行してはどうだろうか。クラウドサービスにも、顧客管理や販売管理など、さまざまなものが存在している。そして、それらは極めて明確に標準化されているため、自社独自のカスタマイズは存在しないものの、実は標準化されたシステムのほうが、業務フローも標準化されて全体最適化を図るのに都合が良いことが多い。時短、ワークライフバランスといった言葉が一般的になってきた今、改めて検討してみる価値はあると思う。

 一方で、厄介な存在がファイルサーバだ。ファイルサーバの使い方は、企業によって実にさまざまで、同じ企業内でも部署によってまったく違った使い方をしているところも少なくない。ファイルサーバ内にある様々なExcelにリンクを張りまくった巨大なサイズのExcelを部署のみんなで使いまわしている、などということが頻繁に起きているのだ。

 さらに、階層化されたフォルダの中には、あちこちで同じファイルが重複している、あるいはバージョン違いが複数散在していることも珍しくない。イシンでは、これらの重複ファイルの検出および整理のサポートをすることもあるが、どこかで思い切ってそういうことをやらない限り、ファイルサーバはどんどん肥大化していくことになる。わずか数人で、数テラバイトのファイルサーバを使っているなんて、洒落にならないことになってしまうのだ。

 手前味噌だが、イシンでは社内にファイルサーバを持たず、Dropboxのビジネス版を使い、社内外からファイルにアクセスできるようにしている。全社員がMac、iPhone、iPadを持っているので、どのデバイスからでもアクセスできるのがいい。企業によってはDropbox自体を禁止しているところがあるが、筆者から見ればナンセンス極まりない対応だ。その証拠に、世界で活躍する企業の多くはDropboxやBoxといったクラウドストレージサービスを利用しており、日本でもセキュリティに厳しい企業が続々と導入を開始しているからだ。

 Macは企業で使い物になると断言できる。しかし、自社の状況いかんで即導入、というわけにはいかないところもある。何が課題で何をクリアすればいいのか、といったことをユーザー部門含めて検討し、一部の部署からスタートさせるのがスムーズなのではないだろうか。

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