仕事で使うアップルのトリセツ

結局、法人利用がiPadになる理由

大木豊成

2017-09-05 07:00

 JR東日本がiPad miniを約7000台導入したのが2013年。それ以降、JR東日本およびグループ会社で4万台ほどのiPadが活用されている。カフェ、コンビニ、弁当などの販売・営業のみならず、設備点検や、駅構内の案内でも活躍している。

 東京駅などターミナル駅では、コインロッカーの案内に苦労していた。大きなスーツケースを抱えた旅行客にコインロッカーの位置を案内しても、そのコインロッカーまでたどり着くと全て利用中だった、といったことが度々起きていた。現在はIoTを導入し、iPadでコインロッカーの空き状況まで見られるようになったため、旅行客に無駄足をさせなくて済むようになったのだ。

 その他にもiPad導入に関して、野村證券の営業組織、メガネの三城の店舗などが有名だが、なぜどの企業でも、数あるタブレットの中でiPadを選択するのか。導入前、導入時、導入後にどのようなメリットがあるのか、を考えてみたい。

DEPの登場

 iPhoneが発売されてから7年後、iPad発売から4年後の2014年11月に、Appleが満を持してDEP(Device Enrolment Program)の国内提供を開始した。

 iPhoneやiPadが多くの企業で使われはじめた今、1000台、2000台という大型導入が当たり前になってきた。

 そういったときに、いわゆるキッティングと呼ばれるセットアップが必須になってくる。Windows PCであれば、マスターを作り、シマンテックゴーストなどを使ってコピーを作ることができるため、1000台であっても必ず同じものが出来上がり、違うものになってしまう心配がない。

 しかし、iOSの場合はそういった仕組みがないため、キッティングの際には一台一台の検証が必要なため、多くのキッティング業者が手を付けたがらない。また、社内でやる場合には、「作業場所の確保」「保管先の確保」「作業外注化のための手順標準化」「デバイス配布先の現場社員向け説明会」「説明会と併せた発送時期の調整」など、数カ月にもわたる大変な労力がかかることになる。Apple IDを台数分取得するにも、大変な苦労と時間であることは容易に想像できるだろう。

 しかし、iPhone、iPad登場時は、個人ユーザーに焦点を当てていたAppleが、近年は企業や学校でのiOS活用に力を入れてきていて、DEPはその導入時の負荷を大幅に下げることができるサービスと言える。MDM(モバイル端末管理クラウドサービス)とセットで導入することで、 iPad登場時の頃に比べて、半分ほどの作業量になったのだ。

VPPの登場

 さらにAppleは、VPP(Volume Purchase Program)を提供している。VPPとは、iPadやiPhone、さらにはMacのアプリケーションをまとめ買いする仕組みだ。

 以前は、一台ずつにApple IDを取得し、iPadならApp Storeからアプリケーションを一つずつインストールしていたわけだが、このVPPを使えば有料・無料に関わらず、アプリケーションをMDMから遠隔配信することができるようになっている。(ただし、MDMによっては、この機能に対応していないので注意が必要だ。)

 また、VPPを使うと、アプリケーションによっては、まとめ買いで安くなるものもある。予め、自社で契約したVPPのサイトから、価格を調べておくといい。イシンでは、VPPのアプリケーション購入やインストールを代行しているが、辞書アプリケーションのような高額のもので半額になるものもあるので、VPPを活用することで導入コストが下がることも考えられる。

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