日本時間2017年6月6日の早朝2時。WWDCの基調講演が行なわれた。WWDCはAppleの開発者向け会議「Worldwide Developers Conference」の略だ。
開発者向けにさまざまな技術説明が行なわれるのだが、基調講演で新製品、新機能などが発表されるのが、毎年報道で取り上げられ、Appleユーザーが注目しているイベントだ。ちなみに、2014年から2016年までは、主にmacOSやiOSなどOSの新情報が中心で、ハードウェアの発表は行なわれていなかった。
しかし、今年のAppleは、iPad、MacBook Proに加えて、デスクトップ型のiMacにも新モデルを投入してきた。また、同時にmacOSとiOSのアップデートを発表したことは、現在のアップルの立ち位置に加えて、彼らの気迫が伝わってくるものであった。
以前は、ほとんどのセッションを故Steve Jobs氏が行なっていたが、現在は最高経営責任者(CEO)のTim Coock氏と各テクノロジ、サービスの責任者が共になって会場を盛り上げている。一部のマスコミは、Cook氏の名前にかけて「Cook船長」という呼び方をしているが、今回の発表はCook船長の意気込みと本気度が感じられるものであったのだ。
Tim Cook氏がARをデモ
VRを企業が導入する時代
VR、バーチャルリアリティといえば、昨年くらいからゲームの世界で盛り上がっている。そして、少し前までは各ゲーム会社が個々に取り組んでいたところに、2017年5月には、ネットカフェのコンテンツ事業の大手テクノブラッドが、バーチャルゲートというVRコンテンツに特化したプラットフォームをスタートさせ、VRゲームを集結させたことで、さらにゲームの世界での盛り上がりが期待されるところだろう。
しかし、一方では小売業や介護事業など、トレーニングを必要とする事業体を持つ企業の中で、VRでの教育に期待している企業は多い。コンテンツ作成やハードウェアなど初期投資は必要とされるものの、教育にかかるコストは決して馬鹿にならない。また、教育していくうえでの講師やマネージャーなどの時間と人件費と比較すると、VRを導入するほうがいい、と考える企業があるのは当然だ。
今までVRのハードウェアと言えば、ソニーやSamsung、そして2014年、Facebookに買収されたOculus Riftが有名だが、今回のAppleの発表では、「VR」「AR」に加えて、「機械学習(Machine Learning)」「AI」という言葉が連呼されていた。ヘッドマウントディスプレイはHTC製だが、外付けGPUを加えて、現行および今回発表されたMacBook Proおよび新たに投入されたiMacを使うことで、VRコンテンツを利用する、あるいはコンテンツ作成もできるようになるのだ。
VRコンテンツなんてとんでもないと思っていた企業が、自社内の教育用VRコンテンツを作成することで、作成までのスピードアップと大幅なコストダウンが見込めることになる。
AppleがAR開発者向けに発表