iPadはMacとは違う道を行く
今回発表されたiPad Proは、A10Xというプロセッサを搭載し、今までデュアルコアだったものが6コアになり、GPUは12コアになっている。それは新しい10.5インチと同時に12.9インチも同じように進化しており、12.9インチは軽量化も図られている。
VR、ARに対応していく上で、この圧倒的なパフォーマンスを最大限に活用できるのだが、多くのメディアではMacとの差別化について論じられているものが多い。しかし、Appleが本当に考えていることは、iPadで今までのパソコンとは別路線、別の領域の需要を生み出すことではないだろうか。
考えてみよう。2010年4月3日に米国で発売された初代iPadは、同年1月の発表の場で、Jobs氏がソファにもたれて操作する姿を見せた。これが、当時のAppleのメッセージだったのだ。過去に、ソファにもたれて操作することがふさわしいパソコンは存在しなかった。同時にiPadというスタイリッシュな端末を持ち歩くことが、エグゼクティブのステータスにもなった。
現在、iPadは決してエグゼクティブの特権ではなく、iPad ProにApple Pencilで絵や図を書くクリエイターは多いし、医療関係のアプリケーションも増えてきている。また、iPad Pro12.9インチのサイズを生かしてデジタルサイネージに活用している小売業も多数存在する。
つまり、MacなどのPCとはさらに異なった領域を見出すのがiPad Proの使命なのではないだろうか。筆者自身にとっても、Macを持ち出すときは、外出時に資料を作らないといけないとか、見積書などを作成することが多い場合。一方で、プレゼンテーションや説明が中心の外出の場合には、iPad Proだけで出かけている。筆者はセルラーモデルを使っているが、その点でも使い勝手がいい。
2017年のWWDCでは、MacにiPad、HomePodなど盛り沢山に登場したが、法人での活用が視野に盛り込まれたOSになったことも大きい。次回は、Apple製品を業務に活用する人たちについて見ていきたい。