Intelは米国時間9月30日、米ニューヨークで開催中のイベント「Strata + Hadoop World」で、「Trusted Analytics Platform(TAP)」の試験導入プロジェクトに関する概要を発表した。
TAPはビッグデータプロジェクトの実装を支援する、オープンソース化されたツールのセットであり、8月のイベント「IDF15」で初めて公表された製品だ。TAPには、データの分析およびデータサイエンティストとの協業に必要な、一連のツール、アルゴリズム、エンジンなどが含まれており、Intelのアーキテクチャやハードウェアに統合できる。
Intelはビッグデータのエコシステムをけん引する企業の一つであり、Apache Hadoopプロジェクトの中心的存在であるClouderaともパートナーシップを締結している。ビッグデータ市場におけるIntelの最大の収益源は、サーバ用プロセッサの販売だ。
TAPの試験導入プロジェクトの概要は、Intelのビッグデータソリューション担当ゼネラルマネージャーであるRon Kasabian氏によって発表された。それによると、TAPはペンシルベニア大学医学大学院、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学、およびオレゴン健康科学大学に試験導入されている。
TAPの活用方法は三者三様だ。ペンシルベニア大学医学大学院は複数リポジトリから取得した患者データを統合し病気と再入院のリスクを予測するため、マウント・サイナイ・アイカーン医科大学はデータサイエンスを応用し新薬治療法を開発するため、そしてオレゴン健康科学大学は「癌クラウド」を実現するため、それぞれTAPを活用している。
これらの中で最も注目に値するのは、オレゴン健康科学大学の癌クラウドだろう。これは、複数の病院が所有するゲノムデータをクラウド上で共有し、潜在的な癌治療法の発見を可能にしようという試みだ。一般的に研究病院では、自院で解析したゲノムデータを知的財産だとみなす傾向が強い。そこでTAPは「分散ビッグデータアーキテクチャ」というアプローチを採った。これは、研究者らが仮想マシンの保護領域内のインスタンス経由で集合的なゲノムデータを共有し、必要なデータの共有が完了し次第、仮想マシンと関連情報が破棄されるという仕組みだ。これにより、各病院はゲノムデータを手元に留めたまま、それらを研究用途に共有できるようになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。