「Bluemix」を“API経済”の基盤に--日本IBM、地銀向けにコンソーシアム設立

三浦優子 2015年10月26日 17時51分

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 日本IBMと日本情報通信(NI+C)は10月21日、新たな金融サービス“FinTech”推進の一環として、「地方銀行向けBluemixコンソーシアム」を設立した。「単なる勉強会としてのコンソーシアムではなく、いち早く実用につなげるためのもの」(日本IBM 執行役員 クラウド事業統括担当 小池裕幸氏)と実務へのクラウド活用を促進するためのコンソーシアムとなる。

 金融業でクラウドを利用する場合に大きなネックとなるセキュリティについては、NI+Cが運営する、シングルテナントとして利用できる「Bluemix Dedicated」を活用。企業が単独で新しいテクノロジ、開発手法、運用ノウハウ習得した技術者を単独で育成するのは困難であることから、コンソーシアム参加者が一緒に学び、成長する仕組みとする。コスト削減の鍵となる初期費用削減についても共有することでコスト削減につなげる。

 FinTechを実践している先例として、マネーツリーが開発した金融機関からの明細データを自動取得するサービス「MT LINK」とBluemixをAPI接続するなど協業を進める。マネーツリーを第1弾として、その後、ウェルネット、freee、Payward Japan、メリービズ、レジュプレスなどAPIエコノミーに参加する企業が増加。BluemixをAPIエコノミーのプラットフォームとしての位置付け拡大を目指す。こうした取り組みを進めることでBluemixをFinTech分野の基盤として認知される存在を目指していく。

小池裕幸氏
日本IBM 執行役員 クラウド事業統括担当 小池裕幸氏

金融業での重要なチャネルはAPI

 IBMではデジタル革新につながる要素として、APIエコノミーとエコシステムという2つの要素を挙げる。特に金融機関にとっては、APIが鍵となると見ている。

 「かつて、金融機関の事業拡大を担ったのは支店開設だった。駅前など好立地に支店を開設することが鍵となっていた。しかし、そこから時間が流れ、現在、重要なチャネルとなっているのがAPI」(小池氏)

 API活用を促進する条件として、使いやすさ、オープン、セキュアという3つの条件を挙げ、その条件を満たしたことで1年で130以上のAPIが揃ったという。

 金融システム用APIでは、マネーツリーのMT LINKとBluemixをAPIで接続。今後、FinTechパートナーからAPIを利用したアプリが登場することが見込まれている。

 もう一つの要素であるエコシステムを促進するために、地方銀行向けBluemixコンソーシアムが設立された。コンソーシアムでは、NI+Cから提供されるBluemix Dedicatedに地方銀行が登録して利用する。同コンソーシアムでは、「アプリ開発・実行環境提供サービス」と「SoEアプリコンソーシアム運営サービス」が会員行に提供される。

 Bluemixは9月からリセールがスタートし、NI+Cはリセール国内第1号として、Bluemix Dedicatedを扱う。Bluemix Dedicatedは、地方銀行とパートナー企業に対し開発実行環境のためのセキュアな専用区画を提供する。専用区画はNI+Cが設定、管理されている。アプリ開発・実行環境提供サービスは、NI+Cから提供され、SoEアプリコンソーシアム運営サービスは日本IBMが提供する。サービスは2016年1月からの提供を予定している。

 地銀やパートナー企業は、インターネットではなく、専用線の閉域網を使ってネットワークハブとなるBluemix Dedicated接続サービスに接続する。そこからBluemix Dedicated環境利用サービス内のランタイム、データベース、セキュアゲートウェイなど基本アラカルト、さらに今後提供予定のオプションアラカルトを利用する仕組みとなっている。

春川文男氏
NI+C 取締役 ソリューションビジネス本部長 春川文男氏

 現段階ではランタイムとして2種類、基本アラカルトで4種類、今後7種類のサービス提供を予定している。パブリッククラウドのBluemixで提供されている140以上のサービスを利用していくことも可能となる。

 「いきなりパブリックなBluemixにつなげるのではなく、クローズドなシステムでセキュアな環境を作って接続することで、金融機関が最も気にするセキュアな環境を提供する」(NI+C 取締役 ソリューションビジネス本部長 春川文男氏)

 利用料金は拠点数、メモリ区画量、ユーザー数、DB容量から算定する。地方銀行向けには月額100万円から、アプリケーション開発パートナー向けには月額135万円からとなっている。今回のコンソーシアムには第四、千葉、中国、八十二、広島、北洋、武蔵野の各地銀が参加の検討を進めている。SCSKがパートナーとして参画している。

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