「オープンソースは選択肢ではなく、活用せざるを得ない」:レッドハットCEO - (page 2)

大河原克行

2015-11-05 08:00

 Red Hatには、パートナーによる4000にのぼる認証済みアプリケーションがあり、何万人もの資格認定者がいることを示しながら、「オープンソースにいかに付加価値をつけるかといったことに力を注いでいる」とした。

 また、「Red Hatは主要な製品の1位か2位のコントリビューターになっている」としたほか、「取締役会では、なぜIPもブランドもない企業をなぜ買収するのかと聞かれたことがある。これは、未来を作っていく人たちを買収しているからだ。これにより、エンタープライズニーズに対応していくことができるようになる」と解説した。

 続けてWhitehurst氏は「Red Hatは多くのR&D予算を投下している。なぜ、オープンソースにそれだけの開発が必要なのかと聞かれるが、それは、製品にイノベーションをもたらすために必要であるからだ。ダウンストリームでも、機能させるようにする一方、ライフサイクル全般に渡り、サポートモデルを構築していく必要がある。オープンソースは、今や基幹業務に使われ、中には人命が関わるものに使われている」と解説した。Fortune 500という点では、航空会社、電話会社、ヘルスケア、商業銀行の100%でRed Hatの製品やサービスが活用されていること、米国のすべての政府官公庁がRed Hatの顧客となっていることを示した。

100万以上のOSSプロジェクトが存在するという
100万以上のOSSプロジェクトが存在するという

 さらに、「オープンソースの開発モデルは、モジュール型となっており、リリースが次々と登場し、そして、次のリリースが登場する際には、バグが修正されるというサイクルができあがっている点が特徴。これは、プロダクションソフトウェアではできないものである」と語った。

 Whitehurst氏は、「Red Hatは、ソフトウェアをディストリビュートしている企業だが、そのロードマップを示すことが役割ではない。重要なのは“Paticipation(参加)”である。コミュニティーに参加してもらい、その力を最大限に活用してもらいたい。ここでは、世界で最もスマートな人たちとコミュニケーションできる。コミュニティーに参加すること事態がパワーになる。Red Hatは、最先端を走っている人たちがどの方向でどのテクノロジを使おうとしているのかを知っている。最先端のユーザーの事例を見せていることができる」と同社の立ち位置を明確にした。

 「Red Hatのビジョンは、顧客、開発者、パートナーの架け橋となり、オープンソースの手法でより良いテクノロジを作ることである。どこに参加したらいいのか、コミュニティーがどこに行こうとしているのかを最もよく知っているのはRed Hatである」

モバイルを超える大きなトレンドがIoT

 PaaS基盤ソフトウェア「OpenShift」とコンテナ配備基盤「Atomic Enterprise」の製品部門バイスプレジデントでありゼネラルマネージャーのAshesh Badani氏は、ギリシャ神話のクロイソスの話から切り出して、こう語った。


Red Hat OpenShift & Atomic Enterprise製品部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Ashesh Badani氏

 「ペルシャに軍を派遣すれば、巨大な帝国を滅ぼすことになるだろうという予言者の声を聞き、派遣したところ、クロイソスは破れてしまった。このとき、帝国というのは自分の国のことだった。ここで得られる教訓は、ITから有益な情報を得られても、しっかりと話を理解しないといけないということ、そして、答えを得られても将来を予測するのは難しいことだ」

 続けて、モバイル、IoT、クラウドという3つの潮流からデジタルの未来が描かれることを示し、それぞれの観点から説明した。モバイルでは、「エンタープライズはモバイル導入に投資をしており、それにより、生産性を高め、顧客満足度を高め、収入を高めることができている」と説明した。

 「98.5%のモバイル普及率と、世界で最もApp Storeが利用されている日本の市場に対して12月1日から(モバイルアプリ向け基盤)“Red Hat Mobile Application Platform”を提供することになる。マルチデバイス、クラウドの実装、セキュリティなどのエンタープライズに必須な機能を提供することができる」とした。

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