独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は11月18日、「先進的な設計・検証技術の適用事例報告書 2015年度版」を公開した。IoT(Internet of Things)時代を見据えたソフトウェア開発の信頼性確保を実現したベストプラクティスとして、34の事例を紹介している。
2020年までに世界のIoT(Internet of Things)デバイス数は500億超 、国内のIoT市場規模は約16兆円に達すると予測しており、IoTで利用される機器やシステムの規模が拡大するに伴い、それらを制御する「ソフトウェア」の不具合に起因する機器の故障や、システム停止が社会に与える影響は大きくなるとする。
こうしたソフトウェアの不具合を未然に防止するためにも、ソフトウェアの信頼性確保が社会的に重要な課題となっており、IPAが公開した報告書は、こうした課題に対しソフトウェアの信頼性確保を実現するための「先進的な技術・手法」に着目し、それらを実際に実践した成功事例を収集、取りまとめたもの。
本報告書は、製造業や流通業、商社、情報通信業など多岐にわたる業種・分野の事例を34件収録、さまざまな業種・分野において実践できる内容となっているという。
また、「開発工数を2分の1に短縮した事例」や、「超高速開発ツール導入により費用・工数・工期を3分の1に短縮した事例」など、ソフトウェアの信頼性確保の実現に加えて、開発工程の効率化やコスト削減などを実現したベストプラクティスについて、効果測定データをはじめ実践的な情報を掲載している。
そのため、これから新しい技術、手法を導入する開発現場において、自社の状況と本書の事例を比較するなど、参考書として活用されることを目指したという。
報告書に掲載されている事例の効果の例は以下の通り。
- 開発初期での関係者間の合意形成手法導入により、開発工数を2分の1に短縮(製造業)
- 業務分析および再構築により業務効率が6倍に(商社)
- 超高速開発ツール導入により、費用・工数・工期を3分の1に短縮(流通業)
- シミュレーション技術導入によりテストの実施回数を100分の1に削減(製造業)
- 類似製品開発技術の整備により工数を従来比80%に抑えつつ品質向上を実現(製造業)
- 類似製品開発時の検討漏れ防止技術により確認項目数を20%削減し生産性を向上(製造業)
- テストの自動化導入により、開発中の不具合を2分の1に削減し品質を向上(情報通信業)