Amazon Web Services(AWS)は数カ月前に、大容量のニーズに応えるために、バースト可能な8ギビバイト(GiB)の「t2.large」インスタンスの提供を開始したが、今回「t2.nano」インスタンスの提供を開始した。t2.nanoのRAM容量と価格は、25ドルの「Raspberry Pi 1 Model B+」並みとなっている。
AWSは、t2.nanoが低トラフィックのウェブサイトのホスティングや、マイクロサービスの運用、テスト環境や開発環境のサポートに利用されるとともに、「Raspberry Pi」のように教育目的や訓練目的で利用されると見込んでいる。
t2.nanoインスタンスは32ビットおよび64ビットのOSとアプリケーションが動作可能で、Elastic Block Store(EBS)暗号化と、1インスタンスあたり最大2つのElastic Network Interfaceをサポートする。
AWSは10月に、IoTアプリをサポートするソフトウェアを開発するためのIoTプラットフォームとともに、t2.nanoを発表していた。t2.nanoは1つの仮想CPU(vCPU)と512メビバイト(MiB)のメモリを提供し、同社の「バースト可能な性能を有する」サービスモデルを構成するインスタンスとなる。バースト可能な性能を有することで、必要に応じてベースライン性能を上回ったスケールアップが可能になる。
バースト可能な性能を持つインスタンスは、t2.nanoのほかに「t2.micro」「t2.small」「t2.medium」「t2.large」がある。t2インスタンスのベースライン性能は、t2.microインスタンスの10%からt2.largeの60%までの範囲にわたる。ベースライン以下を維持すれば、ユーザーは割り当てられたCPUクレジットを使い果たすことはない。またクレジットは時間とともに増加する。利用できるCPUクレジットによって、インスタンスが連続してバーストできる時間が決まる。
t2.nanoインスタンスの場合、ベースラインは5%に設定され、オンデマンドの価格は米国で月額4.75ドル、欧州で5.11ドル、アジアパシフィックで7.30ドル、南米で9.85ドルとなっている。1年リザーブドインスタンスは米国で月額3.125ドル(年額37.50ドル)。3年リザーブドインスタンスでは年額25.20ドルになる。
Amazonはt2.nanoのCPUクレジットの仕組みについて、以下のように説明している。
24時間の平均CPU利用率が5%以下の場合、高周波数のIntel CPUコアの最大性能を利用できる。CPUクレジットが残っている間、必要な時にCPUコアの最大性能を利用できる。新しく起動したt2.nanoは30CPUクレジットを保持しており、1時間毎に3クレジットを受け取り最大72CPUクレジットまで蓄積できる。つまり、各インスタンスは一気に連続して最大72分間、最大コア性能でバーストできる。
この新しいインスタンスは15日より米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、米国西部(北カリフォルニア)、欧州(アイルランド)、アジアパシフィック(シンガポール)、アジアパシフィック(東京)、南米(ブラジル)、AWS GovCloud(US)リージョンで利用可能だ。欧米(フランクフルト)とアジアパシフィック(シドニー)でもまもなく利用可能になるという。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。