シスコシステムズは1月22日、協業や投資戦略などを説明するイベントを開催、産業用ロボットメーカーのファナックとサービス面での協業を開始したと発表した。
ファナックでは、学習機能を備えた「知能ロボ」を20年研究してきている。知能ロボにより、工場で稼働するロボットに人間やモノが接触した時にロボットの動きが止まってしまう「チョコ停」をいかに減らすかに注力し、工場の稼働率を向上してきた。

ファナック 専務取締役 ロボット事業 本部長 稲葉清典氏
今回は、自動車業界向けに予測できない故障に対する「ゼロダウンタイム」を発表した。工場内に設置されたサーバでロボットの稼働状況を解析、故障予知して定期メンテナンス時の部品交換や、不意の生産・製造ラインの停止、生産エリアや工場全体で生産業務の中断に至る事態を避けるという。
ファナックの専務取締役 ロボット事業 本部長稲葉清典氏は今回の発表に先立ち、北米での大手自動車メーカーで12カ月間におよぶパイロットプロジェクトを実施したことを明かした。期間中、生産設備や産業ロボット施設のダウンタイムをほぼ100%削減したと説明。「設備効率を上昇させて止まらない工場を実現した。顧客のコスト削減に貢献できる」とアピールした。
ゼロダウンタイムはファナックのロボットを導入している工場にオプションとしてこの夏から秋にかけて提供する予定という。シスコとの提携は、スイッチなどネットワーク機器のセキュリティを評価していることから選んだとしている。

ゼロダウンタイム機能の概要
シスコは投資部門のCisco Investmentsを通じmBaaS(mobile Backend as a Service)を提供しているKiiへの出資を同日発表した。KiiではIOTで必要とされるサーバの機能をクラウドで提供する「Kii Cloud」を提供。今後両社がぞれぞれの基盤を組み合わせ、さまざまな業種の企業向けモビリティ向けサービスの提供で連携するという。
その他、今後の投資は2015年に引き続き、製造業に加えて、電力やガスなどのパブリックセクター、スポーツやエンタメなどサービス分野に注力し、原資として20億ドルを検討しているとした。
さらに2015年に米Cisco自身が立ち上げた、「オープン・フォグ・コンソーシアム」などの活動を通じ、IoT規格の標準化を推進すると説明する。シスコシステムズ 専務執行役員の鈴木和洋氏は「マーケットを広げることに注力する」とし、今後も戦略的提携や資本参加を通じ、IoTのエコシステムの強化に貢献していく点を強調していた。