自動ドアや防犯、計測などの多様な分野でセンシング事業を展開するオプテックスは、同社が販売する各種センサ機器からのデータをIoT(モノのインターネット)に活用する共通のクラウド基盤を導入した。
第1弾として、ポータブルタイプの水質計測センサ機器からのデータを収集する簡易水質測定システム「WATER it」を3カ月の短期間で開発し、2016年1月から中国で試験運用を開始、2016年度第1四半期には中国現地での水質改善に向けたサービスを開始する計画。クラウド基盤を提供する富士通が1月19日に発表した。
WATER itシステム構成イメージ(オプテックス提供)
採用されたクラウド基盤は、富士通の「FUJITSU Cloud Service IoT Platform」。膨大なセンサデータをリアルタイムかつ効率的に活用するための機能をパブリッククラウドで提供するサービスで、ユーザーは短期間にコストを抑えながらIoTを活用したビジネスを展開可能だ。
オプテックスでは、「IoS」(Internet of Sensing Solution)のコンセプトのもと、強みを持つセンシング技術にIoT技術を融合し、「防犯、警備、防災」「環境モニタリング」「運転マネジメント」「ファシリティアセットマネジメント」の分野で、より付加価値の高いサービスを提供することを推進している。
同社では各種センサ機器のIoT活用を目指す中、多様なセンサ機器に対応し、かつ安全な環境でデータ利用が可能なIoT Platformを共通基盤として採用することとした。
オプテックスにおけるIoT Platform活用の概要は次の通り。
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膨大なセンサデータのリアルタイムな安定処理が可能
IoT Platformにより、膨大なセンサデータをリアルタイムかつ効率的に処理可能となる。また、さまざまなセンサデータの追加が容易なため、水質計測センサ機器以外のセンサ機器に対してもIoT Platformを共通基盤として幅広く利用できる。
さらに、IoT Platform上の蓄積データに対するアクセス権限をきめ細かく設定できるため、複数の事業部門、関係会社などでそれぞれの利用範囲にあわせた安全なデータ活用が可能である。
IoT活用のためのアプリケーションが容易に作成可能
IoT Platformと日本IQPの簡易アプリケーション開発実行基盤を連携させることで、プログラム経験のない担当者でも簡単に各種センサに対応したアプリケーションを開発できる。
今回、オプテックスでは実証実験用にIoT Platformを活用し、水質計測センサ機器の開発担当者自らが、機器開発と並行してマルチデバイスに対応した水質管理アプリケーションを短期間で開発した。
その第1弾となるWATER itでは、各エリアで採取した水質データを自動でネットワークを介してIoT Platformに収集、簡単かつ迅速に測定情報を管理、分析できるようになる。
これまでは下水処理場や河川、工場などの各エリアで採取したサンプルを分析センターに持ち帰って測定していたため時間がかかり、かつ広範囲のデータ管理が困難だった。オプテックスでは同システムの展開を通じて現状の課題を改善し、簡易にリアルタイムなデータ収集ができるサービスを提供していく予定。
オプテックス取締役 事業戦略統括本部長の上村透氏は、次のようなコメントを寄せている。
「オプテックスのセンサ機器を活用した新たなサービスモデルの構築にはクラウド基盤のいち早い開発が必要不可欠でした。富士通のプラットフォームは構築性、運用性、メンテナンス性とも非常に簡易であり、かつスピーディーな実現性があるという点が今回の採用の決め手となっています。簡易水質測定システムを皮切りに、センシングが重要とされる様々な現場を熟知した当社が展開する新たなIoT事業のクラウドパートナーとして、富士通には期待しております」