みずほ銀行は、次期勘定系システムの基盤の一つとして従量課金型プライベートクラウドサービスの採用を決定した。現在構築中の次期勘定系システムのほか、2016年度に稼働予定の総給振システム向けにも利用する予定。日立製作所が2月9日に発表した。
みずほ銀行では現在、国内の次期勘定系システムの開発に取り組んでいる。その基盤には、大容量で高品質なITリソースが必要となる一方で、システムの構築と運用のコストを低減できる解決策が求められていた。
今回、同行へ日立が提供するプライベートクラウドサービスは、サーバやストレージといったITリソースを必要な時に必要な量だけ利用できる従量課金型のサービス。同サービスは、みずほ銀行のデータセンター内に日立が保有するサーバやストレージを設置し、それらのハードウェア環境の構築から運用管理、保守までをITリソースの使用量に応じた従量課金型で提供する。
具体的には、日立が保有するハードウェアを設置し、プライベートクラウド型ストレージサービス「ストレージユーティリティマネジメントサービス」と、そのオプションであるプライベートクラウド型サーバサービスを組み合わせ、従量課金型のサービスとして提供する。ITリソースの使用状況を常時監視しリソースプールを一元管理することで、ITリソースの効率化を図れるという。
ハードウェアには、ハイエンドブレードサーバ「BS2500」やエンタープライズディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform G1000」、複数のファイルシステムに散在している大量のコンテンツデータ(非構造化データ)を集約し、ストレージシステムを統合、一元管理できるファイルストレージ「Hitachi Virtual File Platform」などを活用する。
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みずほ銀行は、複雑で大規模な勘定系システムに求められる性能や容量、品質を備えたというITリソースを資産として保有することなく、データを自行のデータセンター内に保有し高いセキュリティを維持しながら、システムの構築状況や稼働後の業務状況に応じて柔軟に利用しコストを最適化しつつ、ハードウェア環境の構築から保守までの運用管理にかかる業務負荷を低減できると期待している。
例えば、システム構築計画に基づいた使用量の予測に応じて最適な規模のITリソースを使用できるとともに、一時的に多くのITリソースが必要となった場合でも、ハードウェアを新たに導入することなく迅速に容量を拡張できる。ITリソースを資産として保有しないため、リソースが不要となった際は容量を縮小することでコストを最適化できる。
同システムは、本番環境と災害対策、準本番環境を完全に二重化した構造であるため、ソフトウェアの更新作業のほか、災害やシステム障害などの発生に伴う保守作業の際にも業務を継続可能な無停止環境が実現するとしている。
サービス概要図(日立提供)