米SAS Instituteが小売業向けイベント「NRF 2016」で、IoTの想定使用モデルを発表した。例えば食料品店では、ジオフェンシング(ユーザや対応端末が地図データ上の“フェンス”内に入った場合特定の処理を起動できる機能)や位置情報に基づく技術を利用したIoTセンサが取り付けられた場合、運営上のニーズや顧客のニーズをより正確に予測できるようになり、より快適で満足できる体験の提供が可能となるという。
IoTデータを分析することで、小売業者は店舗オペレーションや顧客行動のパターンを発見することができるため、店内スタッフをレジに回したり、冷凍庫が効率的に稼動しているか確認する、カスタマイズした割引コードを来店客のスマートフォンに直接配信するなどのアクションをデータに基づいて実行できるとしている。
具体的には、同社の分析ソフトウェア群「SAS Analytics」を活用することで、小売業者が大量の小売データからリアルタイムにパターンを解析し、顧客にとって重要と思われるアクションをデータに基づき実行することができる。SASは小売業者むけに、2016年春にIoT製品群をリリースする予定という。
SAS Analyticsを用いることで小売業者が実現できるようになるのは、以下のような項目という。
感知する(Sense)
顧客がどこにいて、何をしているのかを感知する。アドバンスド・アナリティクスと機械学習アルゴリズムが、これらの情報に関連する情報を識別。SAS Analyticsはセンサから絶え間なく流れるデータをエッジネットワーク上でも解読できるため、小売業者はデータに基づきリアルタイムで意思決定を下すことができるいう。
特定する(Understand)
ウェブサイトを利用したことのある来店客を来店前に特定する。センサデバイス、データゲートウェイ、クラウドアグリゲーターなど、SAS Analyticsはどこでも組み込むことができる単一の共通言語を提供して、分析に基づく情報を相互接続されたエコシステムを通して一貫して共有できるようにするという。
行動する(Act)
接客が必要な来店客に店舗スタッフを対応させることができる。SAS Analyticsは例外管理機能を活用し、ストリーミング・データ指標に基づいて、行動を起こすために必要な指示を統合。
どのアラートを誰に出すかを切り分ける、応答を必要としているシステムを特定する、詳細に分析すべきデータの箇所を特定するといった作業も含む。アナリティクスサイクルを継続的に実行することで、小売業者や消費財メーカーは自社のIoT環境をコントロールすることができるようになるという。