「優れた顧客体験が得られるスマートなアプリケーションが求められているが、実現したくても古くて複雑なネットワーク基盤が足かせになっている。世界が変わりつつある今こそ、シンプルなネットワーク基盤を導入する絶好のタイミングだ」
日本アバイアは2月18日、同社のネットワーク製品の優位点をアピールする会見を開催。同社製品が市場に求められる背景を説明し、実際の導入事例からユースケースを紹介した。
Avaya ワールドワイドセールス部門ソフトウェアディファインドアーキテクチャ バイスプレジデント/チーフテクノロジスト Jean Turgeon氏
現在は、データをリアルタイムに収集して活用するようなスマートなITシステムの時代であると、米本社のワールドワイドセールス部門のソフトウェアディファインドアーキテクチャのバイスプレジデントであり、チーフテクノロジストを務めるJean Turgeon氏は説明する。例えば、大規模コンベンションセンターのマップ画面で、マップ上にあるレストランの営業状況や混雑状況などがリアルタイムに分かる、といった具合だ。
ところが、こうしたスマートなITシステムは、古いネットワーク基盤を使っている企業には実現が難しいとJean氏は言う。古いネットワーク基盤は複雑なので、新規のアプリケーションを導入する際にネットワークの設定変更に時間がかかってしまう。設定変更の影響範囲も大きく、週末の作業になってしまう。複雑なネットワーク基盤からシンプルなネットワーク基盤に刷新するべきだとJean氏は指摘する。
ネットワーク構成と設定を簡素化、新規アプリの早期実現を支援
Avayaのネットワーク基盤の特徴としてJean氏は、「コアスイッチからエッジ、WAN、無線LAN、IoTデバイスまで、ネットワークの全体をカバーする規模で、設定や運用を簡素化、自動化している」とアピール。同社はこれを実現する仕組みを「SDN Fxアーキテクチャ」と呼び、他社との差異化ポイントとしている。
SDN Fxアーキテクチャのコアにある技術は、複数のスイッチを束ねてレイヤ2のファブリックを構成する技術だ。ネットワークの経路制御を簡素化する仕組みの1つであるIEEE802.1aq(Shortest Path Bridging:SPB、最短パスブリッジング)を利用している。イーサネットフレームをカプセル化して経路判断のための情報を付与し、レイヤ2でルーティングする。
レイヤ2のファブリックのメリットは、ネットワークの構成と設定がシンプルになること。全ての接続経路を有効利用するマルチパス構成によってSTP(スパニングツリープロトコル)を代替し、可用性と通信帯域を両立している。ファブリックにおいては、ネットワーク構成や設定の変更も容易になる。
IoTデバイスなどのようなSPBを実装していないネットワークデバイスをSPBのファブリックにつなぐアダプタも用意した。これにより、多数のIoTデバイスからデータを収集するネットワーク基盤なども簡単に構築、設定できるという。IoTデバイスをファブリックにつなぐための要素技術として、アダプタには仮想スイッチの「Open vSwitch 2.4」を搭載した。
会見の後半では、実際の導入事例から、スマートなITシステムの例をいくつか紹介した。
例えば、(1)米国の911番のような緊急通報にビデオ通報を加え、ビデオで現状や位置情報を送れるようにした、(2)学校の門の施錠や警報をスマホからボタンで行えるようにした、(3)手術中にウェアラブルデバイスとビデオ会議で専門医に相談できるようにした、(4)会議室予約やLED照明の自動調節など職場環境をスマート化した、(5)小売店舗のスマート化でビデオ監視と録画、緊急時の店舗の封鎖などを自動化した――などの事例を紹介した。