ある企業の行動原理を知りたければ、金銭の流れを追えばいい。
この数年間、コンピューティング業界の3大公開企業が米証券取引委員会に提出している報告書を筆者が調べているのは、そのためだ(過去の状況を知りたければ、2012年と2014年の記事を参照してほしい)。
3社すべてが、2016年1月に報告書を提出している。Googleの親会社であるAlphabetの会計年度は、12月31日が年度末であるため、1月に提出されたのは年次決算報告書である10-Kだった。このため、同社の事業については通年の売上高に基づいて検証することができた。AppleとMicrosoftについては会計年度の時期が異なるため、四半期報告書である10-Qを使用した。
以下に示すグラフは、各企業の売上高を分析して、各製品カテゴリの売上高が総売上高に占める割合を示したものだ(各部門の収益性や、各社の事業の国際的なバランスなど、比較できる点は他にもある。しかし、3社とも大規模な黒字企業であり、売上高は最も詳しく報告されている指標であることから、比較には最適だと考えた)。
Google(Alphabet)
Larry Page氏とSergey Brin氏が2015年に会社の組織を変更したため、Googleは、新たに設立された持ち株企業であるAlphabetの子会社となった。
これで組織図は変わったが、事業そのものは変わっていない。Alphabetの売上高のほとんどはGoogleが上げたものであり(99.4%)、その大部分が広告事業の売上高だ(89.9%)。
6年前には、広告事業がGoogleの売上高の97%を占めていたが、近年では90%まで下がってきている。残りの10%は、主に(売上高が多い順に)Google Playストアのアプリやメディアコンテンツの売上、「Chromecast」や「Nexus」などのGoogleブランドのハードウェア、アプリおよびクラウドサービスの利用料金、ライセンス収入から構成されている。
このグラフには表れていないが、Googleの広告事業の成長が何に依存しているかという点も変化している。2013年から2015年の間に、Googleネットワークのメンバーが運営するウェブサイトからの売上高シェアは24.6%から20.2%に減少しており、Google自体のサイトからの売上高が増加した。
Alphabetは新組織体制下の「個別には重要性の低い営業セグメント」を「Other Bets」(その他)にまとめている。このセグメントには、傘下のAccess and Energy部門によるGoogle Fiberや、Nestなどの事業が含まれる。しかし、これらのプロジェクトが上げた実際の売上高(4億8100万ドル)は、小さすぎてこのグラフではほとんど見えない。