顧客主義を追求--「破壊的な製品」SAP Hybris Profileをアピール

末岡洋子

2016-04-02 07:30

 デジタル化による顧客中心への事業転換は、どの企業にとっても待ったなしの課題だ。SAP Hybrisも「システム・オブ・レコード(SoR)ではなく、システム・オブ・エンゲージメント(SoE)が重要」だとする。

 顧客囲い込みのためのシステムの実現には、これまでのCRMやマーケティングを超えた新しいツールが必要になる。同社が2月に地元のドイツ・ミュンヘンで開催した年次イベント「SAP Hybris Summit 2016」では、それを支援する新しいツールを紹介した。

 Hybrisの共同創業者でSAP Hybrisを率いるCarsten Thoma氏に続く基調講演で、同社最高戦略責任者(CSO)のBrain Walker氏が、製品面を中心にSAP Hybrisの戦略について話した。

SAP Hybrisで最高戦略責任者を務めるBrian Walker氏。
SAP Hybrisで最高戦略責任者を務めるBrian Walker氏。

 ネットワークとデジタルにより、コマースは様変わりしている。顧客は知りたい情報にいつでもどこでもアクセスし、店舗でもオンラインでも購入ができる。「デジタルかオフラインかではなく、コンバージェンスが起きている」とWalker氏。ここでは、さまざまなインタラクション、タッチポイントを通じて一貫性があり、関連性があり、文脈に沿った体験を提供することが必要という。

 Walker氏は「顧客とのエンゲージを可能にし、体験を促進するためには、これまでのコマース、これまでのマーケティング、これまでの課金とは異なるアプローチが必要だ」と話す。SAP Hybrisでは、このビジョンに基づき製品開発や投資を実施している。

「破壊的な製品」と主張

 Walker氏は基調講演中、新しい製品や技術をいくつか紹介した。その1つが「破壊的な製品」とアピールする「SAP Hybris Profile」だ。顧客のプロファイルを動的に継続的に積み上げていくもので、トランザクションだけではなく、ウェブ上での行動、技術的属性などの情報もキャプチャし、関係性をグラフデータベースで表示する。グラフデータベースは「Neo4j」を利用している。

「SAP Hybris Profile」はモバイルアプリ、ウェブ追跡、サードパーティからのデータなどさまざまなデータにより相関関係をグラフ表示する
「SAP Hybris Profile」はモバイルアプリ、ウェブ追跡、サードパーティからのデータなどさまざまなデータにより相関関係をグラフ表示する

 インタラクションから顧客の意図、感情、望みなどを探ることを目的としており、データは匿名で収集できる。構築したプロファイルをマーケティング、サービス、課金などのSAP Hybris技術にエクスポーズできるので、分析、予測分析などの技術を組み合わせることで製品レコメンデーション、パーソナライゼーション、ワンツーワンマーケティングなどさまざまな用途に利用できる。

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