IDC Japanは4月7日、国内ユーザー企業のビッグデータ/アナリティクスの取り組み状況を調査し、成熟度を分析した結果を発表した。それによると、50.0%が5段階中の下から2番目となる「限定的導入」の成熟度であることがわかったという。
同社では、データ分析の取り組みは多くの国内ユーザー企業で一部の部署やプロセスだけで進んでおり、組織全体のビジネス基盤として活用している企業は限られている現状が明らかになったとしている。
データ分析による競争力向上への認識が高まる一方で、そのパフォーマンスに対する過剰な言説もあふれているのが現状だと同社は表現。企業の経営層からは、データ分析の成熟度を高めるプロセスを客観的に判断するための指標が求められており、今回の調査はこうした課題に応えるものと位置付けている。
具体的には、データ分析の成熟度について、意思統一、データ、技術、人員、プロセスの5つの側面から調査。従業員500人以上のデータ分析を推進する大規模企業に所属しており、企業のデータ分析の方針決定に影響力を持つ182人に対してウェブアンケートで2月に調査、これらを総合して国内企業のデータ分析への取り組みに関する成熟度を分析している。
成熟度の評価は、IT環境の導入状況を客観的に評価するために開発した手法「IDC MaturiyScape」を活用。特定のIT環境についてまったく導入していない場合を未導入(ステージゼロ)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、個人に依存するステージ1、限定的に導入するステージ2、基盤が全社的に標準化されているステージ3、成果を定量的に管理するステージ4、従来はできなかった事業価値が継続的に創出されるステージ5という5段階で評価している。
その結果、成熟度は、ステージ1が4.5%、ステージ2が50.0%、ステージ3が32.6%、ステージ4が10.3%、ステージ5が2.6%となった。半数が限定的導入の成熟度にとどまり、継続的革新の段階に至っている企業は極めて少数ということになる。
データ分析の成熟度のステージごとの分布(IDC Japan提供)
先進地域の米国では調査対象企業の23.4%が継続的革新の段階にあるとの調査結果が出ており、国内企業のこの分野への取り組みが相対的に遅れている状況が浮き彫りとなった。
同社ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの草地慎太郎氏は「企業の国際競争が過熱する中でデータ活用の重要性は拡大している。国内事例だけでなく海外の先端事例にも目を向け、積極的な先端技術や人員への投資が企業の競争力を高めるため重要である」と分析している。