深層学習でロボットを自動制御--ファナック、工場自動化システムを開発

日川佳三 2016年04月19日 07時30分

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 工作機械や産業用ロボットを手がけるファナックは4月18日、製造業の工場運営を自動化する情報システム製品の1つとして、工場内の機器から得られるデータを工場内でリアルタイムに活用できるようにするシステム基盤「FANUC Intelligent Edge Link and Drive(FIELD) system」を開発すると発表した。2016年秋から冬にかけて販売する。

 FIELD systemは、コンピュータ数値制御装置(CNC)とロボットに加えて、周辺デバイスとセンサを接続して製造、生産を最適化するための分析基盤になる。特徴は、機器に近いエッジ部分でデータを処理する“エッジヘビー”の考え方を採用したこと。

 クラウド側でデータを処理するやり方と比べて、より大量のデータをリアルタイムに処理できる。データを集めて分析するだけでなく、機器の制御にも利用できるようになる。例えば、深層学習(ディープラーニング)による故障予測や自動制御などが可能になる。

 ファナックの「ゼロダウンタイム(ZDT)」を拡張させたFIELD systemはオープン系のプラットフォームであり、サーバやネットワークスイッチなどのハードウェアと、各種ソフトウェア群で構成。OSはWindowsでもLinuxでもどちらでも構わない。この上で、深層学習などの各種アプリケーションが動作する。ドライバを開発することでファナックの機器だけでなく、各種機器やセンサを接続できる。アプリケーションも自由に開発できる。

 今回の製品開発は、ベンダー各社がアライアンスを組んで進める。開発プロジェクトの統括はRockwell Automationが担当。サーバやスイッチなどのインフラの構築はシスコシステムズ。Preferred Networksは深層学習などのソフトウェアを担当する。

 ファナックはセンサが埋め込まれたCNCとロボットを提供。ファナックとシスコとPreferred Networksの3社がメッセージブローカやセキュリティ製品、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)システムを含むミドルウェアを提供する。Preferred Networksが開発したオープンソースソフトウェアの深層学習フレームワーク「Chainer」、IoT向けのストリームエンジン「SensorBee」、同社が開発を進めるソフトウェア基盤「DIMo(Deep Intelligence in-Motion)」に含まれる機械学習ライブラリを活用する。

ファナック 代表取締役社長 稲葉善治氏
ファナック 代表取締役社長 稲葉善治氏

エッジ側でデータをリアルタイムに処理、深層学習も可能に

 FIELD systemで実現できる自動化の姿についてファナック代表取締役社長の稲葉善治氏は、「これからは自動制御もできる時代。熟練したオペレーターによる調整作業まで自動化できる。しかも、自動学習によって獲得した技術をすぐに共有できる」と説明する。

 Preferred Networksで代表取締役社長で最高経営責任者(CEO)を務める西川徹氏は、工場の新しいコンピューティングモデルとして、クラウドではなく機器に近いエッジ部分でデータをリアルタイムに処理するエッジコンピューティングの優位性を説く。「リアルタイムに制御しようとしたらクラウドでは不十分。エッジなら高速に処理できる」(西川氏)

Preferred Networks 代表取締役社長兼CEO 西川徹氏
Preferred Networks 代表取締役社長兼CEO 西川徹氏

 エッジコンピューティングで実現できるアプリケーションの代表が深層学習の応用だ。例えば、深層学習によって機器の故障を予測できるようになる。また、ロボットに動作を教えるティーチングも、深層学習で自動化できる。分散協調型の機械学習も実現できており、個々のロボットの学習結果をロボット同士でリアルタイムに共有して高速に学習する。

 深層学習を制御に活用した例として西川氏は、バラバラに積まれた部品を画像認識でアームでつまみ上げるロボットの例を紹介した。学習させてみると、8時間をかけて5000個のデータを学習することで部品の90%をつまみ上げられるようになった。「オペレーターが教えこんだ場合と同じくらいの成果を深層学習で出せた」(西川氏)

バラバラに積まれた部品を画像認識でアームでつまみ上げるロボットに深層学習を適用
バラバラに積まれた部品を画像認識でアームでつまみ上げるロボットに深層学習を適用

 学習結果を複数の機器で共有して高速に学習した例の1つとして、模型自動車の自動運転の制御も紹介した。この例では、模型自動車同士が互いにぶつからないように運転する。模型自動車同士が学習結果をリアルタイムに共有することで、学習速度を早めたという。

ベンダーがアライアンスを組んでFIELD systemを開発した。(左から)シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木みゆき氏、Cisco Systems IoT兼アプリケーション担当シニアバイスプレジデント Rowan Trollope氏、ファナック 専務取締役 ロボット事業本部長 稲葉清典氏、ファナック 代表取締役社長 稲葉善治氏、Rockwell Automation シニアバイスプレジデント 戦略的開発兼最高技術責任者(CTO) Sujeet Chand氏、Preferred Networks 代表取締役社長兼CEO 西川徹氏、Preferred Networks 取締役副社長 岡野原大輔氏
ベンダーがアライアンスを組んでFIELD systemを開発した。(左から)シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木みゆき氏、Cisco Systems IoT兼アプリケーション担当シニアバイスプレジデント Rowan Trollope氏、ファナック 専務取締役 ロボット事業本部長 稲葉清典氏、ファナック 代表取締役社長 稲葉善治氏、Rockwell Automation シニアバイスプレジデント 戦略的開発兼最高技術責任者(CTO) Sujeet Chand氏、Preferred Networks 代表取締役社長兼CEO 西川徹氏、Preferred Networks 取締役副社長 岡野原大輔氏

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