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Sapphire Now

「SAPPHIRE NOW 2016」を総括--SAPの今後を占う - (page 3)

Doug Henschen (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-05-25 06:00

SAPPHIRE NOW 2016に対する私見

 S4/HANA。McDermott氏は、S/4HANAについて「テクノロジが人間を追い越した」と評した。それは本当なのかもしれないが、筆者が聞いたところでは、S/4HANAの今後の展開に必要なのは、安心できるロードマップをつくることでも、詳細な移行手順を用意することでも、価値保証を提供することでもない。ある関係者は、「ほとんどの顧客は、S/4HANAを新たな領域に導入している。これは、S/4HANAの機能が、うまくいかなくなった古い領域に導入するにはまだ不十分なためだ」と語ってくれた。S/4HANAの導入を支援している、あるサードパーティーインテグレーターからは、S/4HANAの各リリースごとの変更点やプロセスの軽視が原因で、再実装が必要な状況が起こっているという話を聞いた。

 つまり、S/4HANAにはまだかなり技術的な問題が残っているということだ。まだレガシーアプリケーションをそのまま移行することはできず、単純化が必要だったり、ゼロから書き直す必要があったりする。Hasso Plattner氏はSAPPHIRE NOWの基調講演で「当社は大変な勢いで前進している」と胸を張り、新たに導入されたリアルタイム経費分析アプリケーション「RealSpend」などの、これまでは不可能だったアプリケーションについて語った。基調講演で説明されたNestleでのS/4HANA導入事例は、規模の大きい企業は思い切ってS/4HANAの導入に踏み切っているが、新しいアプリケーションや業務プロセスが利用できるようになるまでの移行過程には、かなりの時間がかかっていることを明確に示している。

 顧客へのアドバイス:一般的なロードマップや、移行過程を説明する文書やパンフレットを基にして判断しない方がいい。(筆者が所属する)Constellation Researchが顧問業務で顧客に対して述べているとおり、まず現状の業務プロセスと、どのようにテクノロジが利用されているかについて正確に理解する必要がある。SAPやシステムインテグレーターは、ユーザーがアプリケーションや業務プロセスとどのように関与しているかを調べる診断ツールを持っている。新しいアプリケーションやプロセスに移行すると決断する前に、しっかりした理解が必要だ。

 BusinessObjects Cloud。SAPはBusinessObjects Cloudの将来は極めて有望だと約束しているが、従来の製品販売チャネルや営業チームが、この製品を積極的に売り込みたいと考えるかは疑問だ。これは、BusinessObjects Cloudが成功すれば、BusinessObjects Enterpriseが破綻しかねないためだ。Constellation Researchの考えでは、今後は旧来のトランザクションレコードと同じくらい、あるいはそれ以上に組織外の情報が重要になる。古いタイプの顧客のビジネスインテリジェンス担当者や、古いタイプのソフトウェア営業担当者は、その未来を理解しないかもしれない。クラウドのデータを管理し、結合し、分析し、あるいは収益化するための試みを進められるかどうかは、社内のイノベーターの肩に掛かっている。

 データの破壊的利用。SAP Digital Consumer Insight Serviceは刺激的な試みだが、SAPが顧客自らがデータを破壊的に利用できるようになるための支援に言及していないのには驚いている。Constellation Researchはデータの収益化戦略についてのコンサルティングを行っており、多くの企業がサードパーティーデータのエンリッチ化や、新たなデータの組み合わせを用いた新たなビジネスモデルの推進に関心を持っていることを理解している。これは、SAPの競合相手であるIBMやOracle、Qlikなどが精力的に取り組んでいる分野だ。

 よいニュースは、SAPが自社データの収益化や、API Business Hubにパートナーを引き入れる活動が、簡単に顧客にも転用できることを学んでいることだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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