日本テラデータは5月19日、ヤフーとの技術提携を発表した。今後はヤフーのデータ分析基盤構築に必要なサービスや製品を共同で開発するという。
こうした動きは、すでに米本社で活発化している。LinkedInやFacebookといったソーシャルネットワークサービス(SNS)企業と協業し、技術開発を進めている。2016年のグローバル戦略の柱の1つにも「分析エコシステム」を挙げており、エコシステムの確立を強化していく方針だ。
では、その狙いは何か。5月19日に開催された年次プライベートイベント「Teradata Universe Tokyo 2016」にあわせて来日した最高技術責任者(CTO)を務めるStephen Brobst氏に話を聞いた。
Teradata CTO Stephen Brobst氏
SNS企業は“データ企業”
――近年はSNS企業との協業が積極的だが、Teradataにとってはどのようなメリットがあるのか。
われわれはLinkedInやFacebookといったSNS企業と協業しているが、その理由は4つに大別される。1つ目は、分析エコシステムを拡大できることだ。こうした企業はすでに素晴らしい技術を有しており、効果的に技術を拡張できる。
2つ目はLinkedInはTeradataの顧客であり、非構造化データ分析ソフトウェア「Teradata Aster」のユーザーであることだ。例えば、LinkedInはスタート当時、Oracleのデータウェアハウス(DWH)や同社のレポーティングツールを利用していた。
しかし、会社規模の拡大に伴って、拡張性の観点からTeradataのDWHに乗り替えた。今でもバックオフィスの一部ではOracle製品を利用していると聞いているが、分析の部分はTeradataが担っている。
3つ目は、SNS企業の多くはシリコンバレーのスタートアップから成長しており、(技術の)イノベーションのスピードが速いことだ。例えば、データ管理の「Waterline Data」というスタートアップがある。日本ではまったく知られていないが、シリコンバレーに拠点を構える先進的なIT企業は、彼らに注目している。そうしたアンテナを(SNS企業は)持っている。
そして、4つ目――これが一番重要だが――LinkedInやFacebookは大量のデータを有する“データ企業”であることだ。例えば、Coca-ColaやThe Procter & Gamble(P&G)などは、FacebookやTwitterが所有するデータと自社のデータマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform:DMP)にあるデータを掛け合わせ、Teradata製品を利用してデータ分析し、消費者の行動理解に役立てている。
つまりFacebookやTwitterが所有するデータを分析エコシステムの中で活用すれば、Coca-ColaやP&Gは、自社のデータだけでは得られない新たな知見を得られる。実際、P&Gは、こうしたデータをTeradataの分析プラットフォームで分析し、同じくTeradataのマーケティングソリューションを活用してプロモーションに役立てている。
――エコシステムの観点から言えば、オープンソースソフトウェア(OSS)を積極的に活用している。OSS戦略を教えてほしい。
確かに「Teradata Listener」は「Apache Kafka」を利用しており、同ソフトはLinkedInが開発したものだ。また、SQLクエリエンジンの「Presto」もFacebookが開発し、現在はわれわれとともに開発を進めている。PrestoはHadoopプラットフォームから直接クエリを実行できる機能を提供するもので、「Teradata QueryGrid」のソフトウェアを補完する。