松原氏は、防衛省で9年間勤務後、フルブライト奨学生として、米ジョンズホプキンス大学高等国際研究大学院において、国際関係・国際経済学の修士号を取得。アジア太平洋地域のシンクタンクであるパシフィック・フォーラムCSISのフェローとしてサイバーセキュリティ問題に取り組んだほか、帰国後は、日立システムを経て、インテル日本法人に移籍。政府の情報セキュリティ戦略に関する委員会の一員にも選ばれている。
パロアルトネットワークス 最高セキュリティ責任者の松原実穗子氏
松原氏は「日本政府や米学術機関、日本企業やグローバル企業での経験を生かして、それぞれの国の文化の違いや企業が置かれた立場などを捉えながら、国際的な視座に基づく、脅威インテリジェントの活用やセキュリティ戦略、テクノロジの啓蒙などが役割。具体的には、日本でのイベントを通じた働きかけや、他の企業のオピニオンリーダーとの連携などによる脅威インテリジェンスの発信機会を持つほか、日本の政策づくりへの寄与、国際カンファレンスでの講演、ブログを通じて情報発信などを通じて、技術者でない人たちにもわかりやすく発信していくことを心掛けたい」と述べた。
米パロアルトネットワークスのマーク・マクローリン会長兼CEOは「パロアルトネットワークは、全世界に3600人の社員が在籍し、日本では130人以上の社員が在籍している。また、Unit 42は全世界で約50人の体制となっている。今回、日本法人において、新たなメンバーをチームに迎えいれることができて喜ばしい」と前置きした上で次のように述べた。
米パロアルトネットワークスのマーク・マクローリン会長兼CEO
「脅威インテリジェンスはますます重視されており、Unit 42を通じて、未知の脅威を既知の脅威へ変えることができる点、その情報をなるべく早く、なるべく広範囲に提供するといったことができる。当社は、ワールドクラスで未知の脅威を検知する能力があるが、これを競合他社にも共有するといった新たな仕組みとトレンドを提案し、これを理解してもらっている。エコシステムを活用することで、対抗できるようになる。これからの競争は、なにを知っているかではなく、知っていることに対して、なにができるかのという点になる。当社は、そこに投資をしている」
また、米パロアルトネットワークス 最高マーケティング責任者のレネー・ボンヴァニー氏は「8年前には、日本に脅威が存在していないという人が多かったが、いまや、サイバー犯罪は日本には存在しないという人はいない。
日々、新たな脅威が増加している」としたほか、「日本で導入したAutoFocusでは、セキュリティのオペレータがハンティングするために活用するツールであり、これにより脅威が世界で発見されているのか、自分のいる業界で発見されているのかといった大切なことだけを知ることができる。また、日本ではまもなくApertureを提供するが、これにより、アプリケーションに活用する際に利用しているコンテンツやデータ、そしてユーザーに対するコントロールを可能にするものである。データがどこにあっても管理できる」とした。
AutoFocusのイメージ
さらに「セキュリティプラットフォームの構築においては、技術が大切である。新たな技術によって、脅威を予防でき、一貫性を持ったプラットフォームを構築でき、自動化することができる。今はそうした新たな技術への転換点を迎えている。パロアルトネットワークスが提供する技術は、クラウドを活用したものであり、それによって未知の脅威に対応することができる。これは他社にはないものである。発見した未知の脅威は、すぐに既知の脅威に変えることができ、その情報を社会全体共有することができる。海外の原子力発電所で見つかった脅威は、5秒以内には日本の原子力発電所に伝える必要がある。すべてのネットワークとエンドポイントに、自動的に新たな脅威情報を再定義することができる。脅威は人間が配信しているのではなく機械が行っている。それをスマートに機械で対抗しなくてはならない」などと語った。
ちなみに、ボンヴァニー氏は、「AutoFocusやApertureなど、当社は、カメラ関係の名前が好きである」とも述べた。