教育への尽きぬ情熱を抱いていたWozniak氏は、Appleを離れた後、5年生から9年生(日本の中学3年生)の教師として数年を過ごした。彼の目標は、コンピュータ学習で生徒たちの意欲を引き出し、ドロップアウトする生徒の数を減らすことだった。
仮想現実(VR)
Wozniak氏は、最近リリースされたテクノロジの中では、「スマイル」という掛け声で写真を撮るサムスンのカメラと、「Apple Pay」がお気に入りだと語った。Apple Payは、「Apple Watch」での支払いに使うこともあるという。「この2つは友達に見せびらかしたくなる」という。
一方、Wozniak氏は仮想現実の分野にも興味を抱いており、サムスンの「Gear VR」を特に楽しんでいると述べた。「Gear VRは私を別世界へと誘ってくれる。本当にリアルだ。視界のすべてが仮想現実で包まれる。使うたびに感動させられる」
「仮想現実は大きな潜在力を秘めている。3Dテレビのように、すぐに廃れてもおかしくなかったが、仮想現実は多種多様なゲームに応用可能だという素晴らしい特長を備えていた。この特長一つだけでも市場を動かすには十分だ。今日、ビデオゲーム用のチップは市場で最も高性能なものとなっている」
「私が子供のとき、多少なりとも実用性のあるチップは極めて高価で、手を出せるのは政府と軍に限られていた。そうした分野において、消費者の生活品質の向上は二の次だった。しかし今や状況は逆転し、軍がビデオゲーム用に設計されたチップの使用を強いられている。巨大なゲーム市場が、高性能チップの価格を劇的に引き下げたのだ」
Wozniak氏は、もはやAppleの内情には通じておらず、同社が何に取り組んでいるのかは知り得ないとしながらも、「Appleは現在われわれが目にしている製品よりも優れた仮想現実を開発中だと期待したい」と述べた。
人工知能(AI)
人工知能について、Wozniak氏は次のように語った。「もしもコンピュータが人間の頭脳より100倍も賢くなったら、それで世界は良くなるだろうか。答えは恐らくノーだ。賢くなった人工知能は、人間のように争いを始めるだろう」
Googleが人工知能の開発と、すべての人間をネットワークに接続するデバイスの開発に大量のリソースを投じている点については、「特に不安は感じていない」としたうえで、Wozniak氏は次のように述べた。「好きなら使えばいいし、嫌いなら使わなければいいという程度のものだ。Googleは個人情報と広告から利益を上げている企業だ。広告が好きな人間など誰もいないが、広告は現代の常識となった。あらゆるテクノロジは、何らかの形で人間の知的作業を支援するために開発される」