富士通は6月17日、デジタル生産準備ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS(Virtual Product and Process Simulator)」の最新版を販売開始した。組立製造業向けに製品組立構成を視覚的に作成する機能を追加している。デジタルプロセスが開発した。30日から提供を開始する。
VPSは、製品の組立プロセス検討を3次元モデルで支援するパッケージソフト。CADで作成した製品の3次元モデルデータを活用し、製品レビュー、製品組立時の工程検討、製造ラインのレイアウト検討、製造用ドキュメント作成といった生産準備の業務プロセス全体をカバーし、量産立ち上げをスムーズに行えるよう支援する。
主な製品と販売価格(いずれも税別)は以下の通り。
製品名 | 販売価格(税別) |
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VPS Assembly Process Viewer | 無償(App Store、Google Playから提供) |
VPS Standard V15L18 | 400万円(「VPS Digital Mockup」と「VPS Manufacturing」のセット商品) |
VPS Digital Mockup V15L18 | 400万円(「VPS Digital Mockup」と「VPS Manufacturing」のセット商品) |
VPS 組立動画 V15L18 | 98万円 |
VPS GP4 V11L15 | 440万円 |
※VPS Assembly Process ViewerとVPS組立動画を除く表内の製品の価格は、すべてネットワークライセンス(同一ネットワーク上のクライアント端末で購入したライセンス数まで同時利用可能、インストール数の制限はなし)の価格。
VPS製品構成(富士通提供)
最新版では、設計CAD構成を組立構成や組立手順を考慮した構成に変更する作り込み機能が強化され、製造業の業務効率化を支援するという。これにより、生産準備業務での3次元データ活用をさらに容易にし、開発期間の短縮や製品の品質向上に貢献していくとしている。
主な強化点は以下の通り。
大規模製品の組立構成の作成を大幅に効率化する構成ブロック機能を追加(VPS Digital Mockup、VPS Manufacturing)
産業機械や複写機などユニットごとに別のラインで組み立ててから最終組立を行う製品における組立構成の作成を効率化。これまでのバージョンでは、ユニットごとの組立構成を編集する際、品番が一覧となった製造フローや製品全体が表示された3Dビューから構成を変更させたい部品を選択し、別ユニット配下へと移動させる操作を行っていたため、対象の部品がどのユニットに属していて、どのユニットに移動すべきかを把握し編集する操作が煩雑になっていた。
それに対し今回は新たに、1つ1つの部品を形状イメージで表示し、ユニット間の関係をチャートで表現する構成ブロック機能を追加。構成ブロック上で対象の部品をドラッグ&ドロップで移動することで、構成および手順を視覚的に確認しながら簡単に編集できるようにした。
選択部品を製造フローと3Dビューで確認(従来)
組立ブロック図によるアセンブリ構成の確認と構成作り込みを実現(新機能)
設計変更のVPSへの反映時間の大幅短縮や表示性能の改善を実現(VPS Digital Mockup、VPS Manufacturing)
VPS上で編集後に元である設計CADデータに変更があった場合、設計変更を手作業で反映させることなく、短時間で自動的に行うことができる設計変更対応機能を強化。今回は、本機能の処理時間を従来比100分の1に大幅短縮し、さらなる作業効率化が図れるようになった。また、3次元モデルの回転や拡大縮小などにかかる表示速度を大幅に改善したことで、ストレスのない編集作業を実現。
製造ラインの精度の高い作業動線検討を実現(VPS GP4)
製造ラインのレイアウトや工程検討を3次元で検証するVPS GP4では、ラインレイアウトにあわせて作業者の歩行動線を自動的に計算し、シミュレーションするが、今回は新たに作業者の昇降動作表現や作業者間の衝突確認を行えるようになり、より精度の高い作業動線検討が可能となった。
作業者間の衝突シミュレーション
閲覧機能の強化(VPS Assembly Process Viewer)
組立性検証を行うVPS ManufacturingやVPS 組立動画の工程フロー図(組立ブロック図)を、これまでのiOS端末に加えAndroid端末上でも閲覧できるようになった。
Android端末での工程フロー図表示