「クラウド普及でポートフォリオ変更」--富士通がBoxを採用する理由

三浦優子 2016年06月09日 07時00分

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 「(Boxを導入することで)ストレージ販売ビジネスが減少する可能性はある。しかし、技術進化の中では必然的なこと」(富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長 阪井洋之氏)――富士通とBoxは、コンテンツマネージメント分野での戦略的パートナーシップを結ぶことで基本合意したと発表した。

 富士通のデータセンターを活用し、富士通の従業員16万人の社内コミュニケーション基盤としてBoxのコンテンツマネジメントプラットフォームとして採用。これまで利用するサービスやストレージごとに分断されていた情報を、シームレスに利用できる環境を整える。

 複数のサービスをシームレスに利用できるようになることで、単体としてのストレージ販売は減少する可能性があるが、「クラウド普及などポートフォリオを変えていく必要がある」と判断した。自社で開発するのではなく、Boxという外部企業を活用することについても、「クラウドではエコシステムをどう作るのかが重要。富士通が全分野を取り組めるわけではない。Box以外ともその分野で強いところと協業していく」という。

 富士通としてはBoxの社内利用からスタートし、利用する際のノウハウを社内に蓄積し、外販する際にも活用していく。将来的には富士通の業務・業種ソリューション、セキュリティ、モバイル、ネットワーク、手のひら静脈認証といったソリューションとBoxを連携させた、業種・業務特化型ソリューションを共同開発していくことも計画し、日本だけでなく、グローバルでのビジネス展開を検討している。

 Boxの共同創業者であるAaron Levie氏は、「全てがクラウドにつながる時代となり、新たな価値を見出だして、そちらへ転換していく必要がある」と富士通の姿勢を評価。新たなITビジネスが実現できるとしている。

 富士通ではグループ企業の従業員16万人が社内グローバルコミュニケーション基盤を利用している。ここにBoxを採用し、複数のサービスをシングルサインオンで利用可能とすることで利便性を向上し、コンテンツ管理も強化していく。

 主なBox採用の狙いとして、次の3点をあげている。

 (1)メール添付ファイルを禁止し、Boxを利用したコンテンツ一元管理を行うことで、ストレージの80%を占める重複配信を排除、(2)PC紛失によるデータ損失など、セキュリティ情報漏えい対策の強化、(3)コラボレーション強化などによる生産性の向上。

 「メールを使ったやり取りで、添付ファイルのサイズが大きく、メールボックスの容量が足りなくなることは多くの企業が経験している。これは複数のメール受信者が同じ添付ファイルを共有する、重複ファイルが原因となっていることが多く、ファイルストレージの80%を重複ファイルが占めているという指摘もある。Box利用で添付ファイルを利用せず、Box内の同一ファイルをURLから参照、編集することができるようになる。セキュリティについても端末にファイルを保存しないことで、端末紛失による情報漏えいリスクを減らすことができる。管理についても一元的に利用者を管理することで、部外者の不正利用を防ぐことにつながる。コラボレーションにおいても、現状に比べ場所、相手に依存しないシームレスに作業できる環境が整う」(富士通 阪井氏)

 富士通では社内のコミュニケーション基盤としての利用からスタートし、富士通の国内データセンターからのBoxの提供を実施、富士通のMetaArcサービスと連携した統合サービスを提供し、「これまでグローバルコミュニケーション基盤は、130万IDを販売している。この既存ユーザーに加え、新規ユーザーにBoxをアドオンして提供し、3年で100万ID販売を目標とする」(富士通・阪井氏)計画だ。

 また、富士通の業種・業務ソリューションとのBoxの連携も今後計画し、日本だけでなくアジアをはじめとしたグローバル展開も計画している。

 Boxでは富士通以外にも多くのエンタープライズビジネスを事業の柱に据える企業と提携している。「API経由で、さまざまなサービスからBox内のコンテンツに即アクセスできるようになる。以前はセールスフォース・ドットコムと強固な連携を実現し、利用するお客様が多かったが、最近ではマイクロソフトのOffice 365、Google Appsとの連携が急増している。日本でも業務、複合機、コンテンツ管理、ネットワークなどさまざまな企業とエコシステムパートナーとして提携している」(Box Japan 代表取締役社長 古市克典氏)

 富士通とはBoxが営業展開していないアジア地域での営業活動を予定しており、「富士通のサービス開発力、提供力、システムインテグレーション力などを、当社のビジネス拡大につなげていきたい」(古市氏)としている。


Boxの共同創業者であるAaron Levie氏(左) 富士通 執行役員常務 グローバルマーケティング部門長 阪井洋之氏(中央) Box Japan 代表取締役社長 古市克典氏(右)

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