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「日本のアイデアを海外がさらっていく」現状--量子アニーリング理論の可能性(2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2016-08-31 06:30

 最先端技術である量子コンピュータ「D-wave」が注目を集めているが、根本にあるのは「量子アニーリング」理論だ。その可能性について、京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助教、大関真之氏と、早稲田大学高等研究所助教である田中宗氏が、量子アニーリングについて語った。今回は2回目(第1回はこちら)。

--量子コンピュータの開発競争の現状は。

大関氏 世界的に見ると、日本以外は活発です。米国とカナダが抜きん出ていて、ヨーロッパは投資が始まったという感じです。カナダでは量子アニーリングを利用した量子コンピュータ(量子アニーリングマシン)である「D-wave」が「組み合わせ最適化問題」を高速に解く、専用マシンとして生まれました。D-Waveに関係して量子アニーリングをさまざまな問題に適用するためのソフトウェア開発会社が立ち上がって、「1Qbit」、まさに量子ビット、という名前の会社が出てきています。

 米国では米IBMや米Microsoft、米Intelなども、従来から考えられている、因数分解などを含め万能量子計算が可能な「量子ゲート方式」(量子ビットを組み合わせた量子ゲートにより汎用の計算ができる方式)の量子コンピュータの開発に取り組んでいますし、Googleは量子アニーリング形式の量子コンピュータ向けチップの開発に注力しています。

 ヨーロッパでも、量子ゲート方式の量子コンピュータに演算に潜む誤りを克服する「誤り訂正」を組み込んで、きちんと制御可能なものを作ろうとしています。

 そのように世界中で投資が始まっています。ベンチャーや大企業も含めて量子コンピュータ部門のようなものを作り、それに投資するような話も当たり前になってきています。


量子アニーリング形式の量子コンピュータを開発しているD-wave

田中氏 日本に関して補足すると、大関さんは「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」に入って最適化問題を解くマシンの開発をしていますよね。

大関氏 はい。もちろん日本も負けていられないので。内閣府主導のImPACTというプロジェクトで、山本喜久プロジェクトマネージャーを中心に活動しているところです。最適化問題を解くデバイスを開発しようというのが目的の一つです。

 実社会に利用されている最適化問題を特別な計算処理で解く専用マシンを開発しており、D-Waveよりもビット数に関しては多めです。より広範囲の最適化問題に適用できる工夫もなされています。今はさまざまな観点でその精度や性能評価が進んでおり、実例の蓄積をしているところです。

--量子コンピュータの研究が量子アニーリングへつながっていった理由は。

大関氏 いわゆる量子コンピュータという名前が指しているのは量子ビットを組み合わせた「量子ゲート」により汎用の計算を行う「量子ゲート方式」というものです。「量子アニーリング方式」はいわば傍流でした。Richard Phillips Feynman氏が「量子力学に従う世界なのだから、量子力学に従うように動作するコンピュータがあったら一番良い」と言いましたが、それならば自分たちで量子力学を操作しようという機運で開発されているのが量子コンピュータです。

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