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「日本産量子コンピュータ」の勝算--量子アニーリング理論の可能性(4)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2016-09-15 07:00

 最先端技術である量子コンピュータ「D-Wave」が注目を集めているが、根本にあるのは「量子アニーリング」理論だ。量子アニーリングは、どんな組み合わせが最適かを計算する「組み合わせ最適化問題」の解法の1つとして研究されているものである。その可能性について、京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助教、大関真之氏と、早稲田大学高等研究所助教である田中宗氏が語った。今回は4回目(第1回)(第2回)(第3回)。

--実際、私たちの生活の中の何をどのようにして組み合わせ最適化問題に落としこむのでしょうか。

田中氏 はい。組み合わせ最適化問題にはひとつ重要な前提があります。それは「仮定した前提のもとで最適なものを選ぶ」ということです。たとえば「何を食べますか」と聞かれたときに、そのとき持っているお金と、食後の満足感、そして近くになんでもそろっているレストランがあるので「ステーキ」と答えるかもしれません。


 しかし現実には、ステーキがいま現在の自分の健康状態にとってはよくないものかもしれない。しかし、健康状態についても考慮して最適化するのか、そうではないのかで答えは変わってきます。健康状態を考慮する場合、それぞれの食べ物に関する健康値をあらかじめ用意しておく必要がありますが、これ自体もかなり難しい問題です。

大関氏 その設定作業をできるだけ自動化しようという取り組みも多く始まっています。その理由はやっぱり面倒だからです。食事に関係するところで言えば、京都大学は最近ヘルスケアのサービスを提供するハカルスと協働していますが、食べ物に関して画像や音声、直接食材を入力することで、摂取したカロリーや、病気になりやすいリスクなどを調べられます。そうすると、最適な食材や野菜のとり方などをスマートフォン上のアプリで提案できます。

 量子コンピュータ自体の研究が盛り上がっているというわけではなくて、データから学び取る機械学習と、その時にデータに対してより適合した良い解を見つける最適化問題の持つ潜在能力に時代が気づき始めた、というわけです。そういった応用サイドの面から量子アニーリング近辺の盛り上がりがあり、一緒に量子の力に興味が持たれたのだと思います。

 機械学習なり最適化問題なりを利用したサービスを身近なスマートフォンなどの端末へ提供する際、デバイスのCPUで足りなければクラウドを活用するかもしれませんし、その裏はスーパーコンピュータ、量子コンピュータかも知れない。それはサービスや利用するデータの規模、得手不得手に応じてサービスを適用する側が用意する。

 ユーザー側は、スマートフォンなどを通じてデータや自分のコンディションを提供する。「あなたはこうした方がいいよ」という最適化問題を通じた提案を受けて、利益を享受するという、近くに見える時代に見事にマッチしているわけです。

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