ブラジル最大のスーパーコンピューティング設備が5月以降、ほぼ停止している。設置されている研究所の資金不足で、電気代を支払えないためだ。
設備を稼働させ続けるのに必要な電気代は、1カ月あたり50万レアル(14万7986ドル)を超える。リオデジャネイロ州政府は現在、財政危機に瀕しており、このような需要に対応するための資金供給額の見直しはされていないという。ブラジルのラジオ局CBNが伝えた。
同国の国立科学計算研究所(LNCC)によると、電気代は施設の月間予算の約80%にものぼるため、「Santos Dumont」を完全に稼働させておくことができないという。
ブラジル最高のスーパーコンピューティング設備であるSantos Dumontは、2015年に稼働を開始したクラスタ構成のシステムで、「Santos Dumont CPU」、「Santos Dumont GPU」(現在、世界で476位)、「Santos Dumont Hybrid」という3つのシステムで構成されている。全体での処理能力は1.1ペタフロップス、Santos Dumont GPU単体では456テラフロップス。
LNCCは2016年に入り、Santos Dumontのスーパーコンピューティングリソースを活用する研究プロジェクトを選定していた。
このような現状により、6件の研究プロジェクトが計画から遅れており、それ以外の75件のプロジェクトが開始を待つ状態になっている。宙に浮いているプロジェクトの1つは、ジカウイルスの遺伝子マッピングに関するものだ。
今のところ永続的な損失を避けるため、このスーパーコンピューティング設備のごくわずかな部分だけが毎日稼働している。資金繰りの問題は解決されないままだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。