ファイアウォール運用負荷を軽減--ソフトバンク、社内LANのアクセス制御に新発想

日川佳三 2016年07月04日 06時00分

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 「ファイアウォールの台数が多いので、新しい拠点ができた際にアクセス制御ルールをすべてのファイアウォールに手作業で反映するのは無理な状況だった」。ソフトバンクのシステム基盤本部でネットワークの構築・運用に携わる前田高尚氏は、同社が抱えていた課題をこう振り返る。

 ソフトバンクは2015年7月、アクセス制御をシンプル化する新たなアイデアを採用した。「新しい拠点ができても、あまり作業が要らない」(システム基盤本部でネットワークの構築・運用に携わる長谷川寛氏)のがメリットだ。アクセス制御ルールをネットワークに反映する際の運用にかかる負荷は77%減った。金額にして年間5000万円から6000万円を削減した。

図1:クライアント端末側のセキュリティレベルをIPパケットに埋め込むことでデータセンター側でフィルタリングできるようにした(ソフトバンク提供)
図1:クライアント端末側のセキュリティレベルをIPパケットに埋め込むことでデータセンター側でフィルタリングできるようにした(ソフトバンク提供)

 新しいやり方では、IPパケットのサービスタイプ領域(Type of Service=ToSと呼ぶ8ビットの領域)に、クライアント端末のアクセスレベルを記述。この値をもとに、データセンター側でフィルタリングする(図1)。アクセスレベルを付与するという“色付け”(カラーリング)で制御する仕組みだ。「これまでのような、IPアドレスをもとに制御するやり方から逃れたかった」(長谷川氏)

 新方式の効果として、運用負荷が減っただけでなく、セキュリティも向上した。セキュリティの考え方がシンプルになったので、エンドユーザのセキュリティへの認知度が高まった。今後の展開としては、運用の自動化を図っていきたいという。「新たにセグメントが作られた際に、その次の日からサーバにアクセスできるようにしたい」(前田氏)

ソフトバンク システム基盤本部 ネットワーク統括部 ネットワーク部 ネットワークシステム課 課長代行 前田高尚氏
ソフトバンク システム基盤本部 ネットワーク統括部 ネットワーク部 ネットワークシステム課 課長代行 前田高尚氏
ソフトバンク システム基盤本部 ネットワーク統括部 ネットワーク部 ネットワークシステム課 長谷川寛氏
ソフトバンク システム基盤本部 ネットワーク統括部 ネットワーク部 ネットワークシステム課 長谷川寛氏

ファイアウォールが増え、アクセス制御の運用負荷が限界に

 ソフトバンクが社内LANのアクセス制御のやり方を刷新した背景には、ファイアウォールの設定変更に伴う作業負荷が高く、ネットワークの規模が拡大していった際に対応しきれなくなるという課題があった。

 ソフトバンクでは、サーバを不正アクセスから守るため、個々のサーバごとにファイアウォールを設置している。ここで、クライアント端末からサーバへのアクセスは、クライアント端末側のIPアドレスを元にして、個々のファイアウォールがそれぞれ制御していた。

 このやり方の問題点は、時間が経ってサーバが増えるにつれてファイアウォールの台数も増えるので、アクセス制御ルールの設定にかかる作業量も多くなるということだ。「なんとかしなければならなかった」(前田氏)。この問題に対する抜本的な対策として新方式が生まれた。

 そもそもの前提として、ソフトバンクではいくつかのセキュリティレベルに分けて管理している。セキュリティレベルごとに、アクセス可能な情報を区分けしている。例えば、「レベルXXなら個人情報にアクセスできる」、「レベルXXならOAネットワークにアクセスできる」といった具合だ。ネットワークのセグメント単位でセキュリティレベルを付与している。

 これまでは、セキュリティレベルに応じたアクセス制御は、個々のファイアウォールで個別に実施していた。「レベルXXのセグメントからこのサーバ群へのアクセスを許可する」といった設定だ。このため、拠点(セグメント)が増えれば増えるほど、サーバ(ファイアウォール)が増えれば増えるほど、その運用工数が上がってきていた。

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